2018. 04. 23  
盲導犬は、人が犬の犬生(犬の一生)を決めるという宿命をもちます。
そうだとすれば盲導犬の犬生に人が責任をもつのは、当然のことです。



『ハーネスをはずして(辻恵子:著)』です。



盲導犬が年老いて仕事ができなくなったら、引退です。
その後の盲導犬はどうなるの?

世界で初めて「引退した盲導犬の老犬ホーム」を作った、
北海道盲導犬協会の辻さんが記した本です。


引退した盲導犬は、ボランティアで引き取ってくれるかた(登録制)に預けるか、
パピーウォーカー(盲導犬が幼い頃のお世話を担当する人)が引き取るケースがほとんどだそうです。


約10年、盲導犬として働いた犬は、
引退後数年で亡くなるのが普通です。

看取りをしなければいけません。
辛い仕事だとは想います。

それでも、残りの犬生をのんびり安らかに過ごしてもらいたい。
その思いで老犬ホームができたのでした。


これまで盲導犬に関して、あまりいい情報が入ってこなかったんです。

飼い主が見えないのをいいことに、
電車内で盲導犬の顔に落書きするいたずらだとか・・・

最悪だと怒りが湧いてくるのは、
生き物を飼う資格がないような人が盲導犬を飼うケース。


犬は働いてくれるけれど、24時間働けるわけじゃないですよね。
遊びの時間も必要だし、トイレだって行かせてあげなければ。

当然だと思うんですが、中には犬を召使や奴隷のように扱う利用者がいるらしいのです。

最初に盲導犬を渡す際、
「この人には生き物は飼えない・・・」と分かることもあるそうです。
やんわりお断りしようとしても、
本人が使いたいと希望したら、断ることはできない仕組みになっているのだとか。

犬が不憫すぎるのです・・・。

そんなことを知っていたので、
今回この本でのどかな余生を過ごせている犬がいるということで、
ホッとさせてもらえました。


長いあいだ、ごくろうさま、ありがとう。
これからはゆっくり過ごしてくださいね。
ずっとそばについていますよ。
うんと甘えてくださいね。




こんな想いをもって犬の最期までを責任もってお世話する人たち。

運営は苦しいというか、財源がですね。
運営を支える資金の80%は、寄付金と募金。
残りの20%が、公的機関からの補助金です。

善意でどうにかやってきている、というのが現状です。

善意がこんなに集まっている、ともいえますよね。
まだまだココロ優しき人々がたくさんいるのです。

盲導犬だけじゃなく、人間とともに暮らした生き物すべてに、
人は最期まで責任を持つのが当然なんですよね。

人も生き物も、のどかな中で逝けたらいいなあ。



どのような老後の生活と看とりをすれば、盲導犬も人も幸せになれるのかがはっきりとわかれば、
それは、どのように生きると盲導犬も人も幸せに生きられるのかということと同じことになるはずです。
(中略)
ひとり、ひとりがかかえる問題は、だれもが、いずれはかかえる、
みんなの共通の問題なのだと思います。



老犬のお話だけど、人間の問題とも関わってきています。
人生の最期の迎え方の、ひとつの解決方法を示してくれていると感じます。



今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。
☆今週コメント欄閉じますね。

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2018. 03. 30  
人間を知るためには、人間以外のものから人間を見つめないと、
人間の定義はできん。



『たけしの面白科学者図鑑 ヘンな生き物がいっぱい!』です。



ビートたけしと生き物の研究者たちとの対談本です。
シロアリやダイオウイカまで登場していて、生物への興味第一ステップとなります。

その中で、「ゴリラから人間関係を学ぶ」を紹介します。
「ゴリラ先生」として権威ある山極先生が登場。

冒頭の言葉は、先生が大学に入ったときに教授から言われて「そうかも」と納得したもの。
先生は人間はどんなものだと知ったのか?


動物のなかで、ゴリラやオランウータンは人に最も似ているそうです。

ゴリラって、楽しいと笑うんですって。
サルや犬や馬が歯をむき出して笑っているように見えるものと全く違うのだと。

それにゴリラのオスは理想の父親像そのもの。
子どもがなにをしようが、動じないのです。
動じないけれども、子供に危険があると素早く動く。

もしかすると人間以上かもしれない・・・。


その反対に、人と決定的に違うところもあります。
ゴリラは劇やドラマを観ても意味が分からない。

空想とか、架空のものが理解できないのです。
それともうひとつ。


仲間と一緒に食べない。

人間はわざわざ食物を集めてきて、みんなで一緒に食べることを始めました。
人間の社会性は、一緒に食べることをしながら、相手と気持ちを通じ合わせることで養われてきたのです。


このお話、先日紹介した『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』にあったんですが、
ゴリラに限らず、動物と人間が決定的に違うところ。それは、

赤の他人に食べ物をあげる。

人間だけなんだそうです。
家族以外の人間に、「どうぞ」と自分の食べ物を分けるのは。


つまり、「思いやり」があるということなんです。

この話で、子供に「個食・孤食」はよくないという食育が証明されるなと思いました。
大人になってから、自分の意思で、
一人で食べることを選ぶのはいいんですよ。

問題は、ごくごく幼いころから一人で食べるのが習慣になっていること。
そういう子は、共感するとか、思いやりとかを学ぶ機会が極端に少なく育ってしまう。

悪い言い方だけれども、人間らしさがない、と言えるんじゃないかな。

人が「人らしく」あるために。
誰かと一緒にご飯を食べることで養われる。

そんな簡単なことが難しくなってきてる社会があるんだな・・・。

暗くなっていてもどうしようもない。

誰かと一緒に食卓を囲む。
フツーの光景が、実は人間らしさを生み出すものであること。

そう思うと、日々のやかましいにぎやかな食卓も、人間らしさを養うためになってるな~と、それを出来る毎日に感謝したくなります。



人間以外のものから人間を見つめる。
人間のおかしさが見えてくる。




今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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2018. 03. 07  
「南極第一次越冬隊のみなさま
ねこは えんぎが いいそうです
どうぞ ごぶじで つつがなく
つめたいこおりの せいかつで
さびしいときも あるでしょう
いらいらする日も あるでしょう
 そんなとき
きっと このこは みなさんの
やくに たって くれるでしょう」


野良の子猫を拾った心優しき動物愛護協会の人が、
こんな手紙を送りました。

子猫は、南極に行きました。
20世紀に南極に生きた、地球でただ1匹のネコ。

『こねこのタケシ 南極大ぼうけん(阿見みどり:作)』です。



ノンフィクションの絵本です。
南極第一次越冬隊といえば、タロ・ジロで有名な、あの隊です。

実はあの南極へは、子猫も行っていたのです。

どんな猫だったのか、少ない写真が公開されています。
ぜひ、ご覧ください。→南極へ行ったタケシ

子猫は「タケシ」と名づけられ、隊員たちと共に過ごし、いかにも幸せそうです。


ネコならば
いぬには できないことがある
ネコしか できないことがある
 つかれた たいいんの ひざにきて
 ふるえる たいいんの ねぶくろで
やさしく こころを なごませる



仕事をするわけでもなく、
実験台になるわけでもなく。

ただ、人間をなごませるためだけに共に過ごした。

これってすごいな~と想うんですよ。
南極への荷物というのは、ギリギリまで減らしておきたいものです。
ネコのエサを余分に積むならば、犬のためのエサや人間の食料を増やせたはずなんです。

それにもかかわらず、ネコを連れて行った。

人間って、どこに暮らすにしても、動物と一緒がいいと願ってしまう生き物じゃないかと感じました。
そういえば月へ行くロケットにも、犬や猿を乗せていたんでしたっけ。
実験という名目だったとしても、
なごませてもらうために、という理由もけっこう大きかったんじゃないかなと想像します。

ペットブームということもあり、動物は身近な存在ではありますが、
もっともっと大事にしていくパートナーでもありますね。

いなくなったら、どんだけ淋しいことか!




絵本にしているということで、子供への作者のメッセージも含まれています。
野良猫が南極で人間を癒す存在になれたというところで、

生まれたときから神さまが、どこかに何かを秘めごとで、
ひとりひとりにプレゼントしてくれています。
”何か”を見つけたら、一つだけでいいと思うのです。
のびのびと自然のままに花開かせて、
明るく”一番”と叫んでください。



なんてことないその人らしさが、人のお役に立てている。
それは信じてくださいね・・・
古い絵本なんですが、今の子どもたちにも読ませてあげたいです。



今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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2018. 02. 28  
「はい、おっしゃる通り。私は裸で出っ歯です」




小川洋子さんの『とにかく散歩いたしましょう』というエッセイ本を読んでいたら、
冒頭の言葉が出ていました。

小川さんがインタビューで、
「執筆の疲れを癒すものって、何かありますか?」と質問されたとき、

「ハダカデバネズミです」と答えたそうな。
”裸で出っ歯です”と潔くさらけ出しているところがかっこいいと(笑)。

私も子どもと動物図鑑を見るようになってから知ったんですよ、存在を。
たぶん、私が子どものころの図鑑には載ってなかったと思います。


ということで、『ハダカデバネズミ(岡ノ谷一夫:著)』を。



強烈な姿なんですよね・・・
体毛がなく(全然ないわけじゃないけど、パラパラと申し訳程度に生えている)
上下の歯が突出して(唇の前に歯があるのです)
しわしわの皮膚(皮、あまりすぎ!)


ここ2~30年でやっと研究がすすんできたそうです。
意外にも、秩序あるハダカデバ社会を形作っています。


アリやハチのような社会


群れをなし、土の中に巣穴を張り巡らせて(モグラのように)暮らしています。
群れの大きさは平均80匹。
大きなところでは300匹にもなります。


その群れには、1匹の女王ネズミがいます。絶対権力者です。
次の地位には、女王と交尾するためだけの王様が1~3匹。
そして残りすべてが兵隊、雑用係です。


王様はね、おそらく世界一切ないオスですよ。

女王と交尾し、子孫を絶やさない使命をもつオス。
選ばれしモノなのですが、
女王に呼ばれたらイヤでも交尾しなければならない。
(オスに快感はなく、むしろ苦痛を感じていることが研究でわかっています)
交尾すればするたびにやせ細っていく。
たえず男性ホルモンを分泌させているため、免疫力が低下していて、
病気になりやすく、ハダカデバネズミの中でもっとも短命。


面白い役割があり、
雑用係のなかに、「ふとん係」がいます。


女王が産んだ赤ちゃんネズミたちの「布団」となるのです。
まさに、「肉布団」。

赤ちゃんをのせたふとん係たちは団子状態でくっつき重なりあい、
赤ちゃんが冷えないようにじっとしています。

ハダカデバネズミは哺乳類なのに変温動物なのです。
だから赤ちゃんはそのままだと冷えて死んでしまいます。

そしてなぜか女王もふとんの上で眠ります。
親子ですやすや。

写真もあるのですが、よくもまあ、
圧迫骨折とかせえへんの?ってくらい、
ふとん係はひしめきあってます。


でもね、みんなすやすや眠ってるんです。
ふとん係も(笑)。

なんだか幸せそうなんですよねえ。
赤ちゃんの肌に触れてるのってかなり幸せ感がありますが、
人間と同じように感じるのかなあ、なんて安らぎを感じました。



でもですね、ハダカデバネズミの生態研究は難しいそうです。
実は、実験室では女王が育児放棄をしてしまい、繁殖しなくなるとか。


ネズミの育児放棄?って思いますが、
原因として考えられるのは、「人口密度が高いこと」だそうです。


自然の生態では、巣穴の長さ(広さ)は3kmに及ぶのです。
でも実験環境ではせいぜい10m以下。

ケージの広さに対し、ネズミの数が多すぎるからじゃないかと予想されています。
これはすなわち、「ストレス」が原因ということですよね。



身もふたもない「裸・出歯」なんて名前をつけられ、
「キモカワ動物ナンバーワン」などと言われているハダカデバネズミ。

人間より秩序ある社会を作り、幸せに暮らしているなあ・・・。




鳴き声に19種類もあることもわかっていて、
言語学の研究としてもハダカデバネズミは貢献しているそうです。
未知の可能性を秘めています。



今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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2018. 02. 24  
食べることこそ、最大の愛です!!


『ブタが好きすぎてハンガリーの国賓になりました(松本救助:著)』



ごくごくフツーの漫画家・松本さんが、ブタのマスターを主人公にしたマンガを描いたことがきっかけで、ハンガリーの国賓として招待された、そのドタバタ旅行マンガです。

ブタといっても、そこらのブタではありません。
「マンガリッツァ豚」という王子様です。

私は全然縁がなくてこの本を読んで初めて知ったのですが。



わかりにくいですが、全身をくるくる巻き毛で覆われているのが特徴です。
松本さん、そんなにブタが好きなの?


「ブタさんはね、
いるだけで人の心をその顔でほっこりさせてくれるの・・・
それに、ブタさんは裏切らないからだよ。
男は裏切るけど、ブタさんはずっとそばにいてくれる・・・」



あ、ここ深く詮索しないでスルーしましょう。


しかしなぜ、ブタのマンガを描いたからってハンガリーの国賓ということになるの?ですが。


食べられる国宝

マンガリッツァ豚は、品種改良により1833年に生み出されたハンガリー国有の希少種です。
「イベリコ豚」は有名ですね?その親戚にあたる豚なのです。

20世紀初めには約1万4千頭が飼われていましたが、
1991年には191頭にまで激減。

「このままではマンガリッツァは絶滅してしまう!」と、
国をあげて保護策をとり、
2004年には、ハンガリーの「国宝」に指定。

現在、5万頭程度に回復した、とされています。

ハンガリーでは、王子様的存在のマンガリッツァ豚なのでした。


すごい感覚なんですよね。
「国宝を食べる」

日本でいうと、「トキを食べる」ようなもの。


なぜ食べるの?


「国宝」として保護・管理し、食べることによりブランド豚として飼育を盛んにし、数を増やそうとしている。

食用として出荷し、それが売れることにより、
飼育する資金作りに成功しているというわけです。


かしこい!!
思い切った方法に感じるんですが、アイディアですよね、これは。

誰も困らないんですよ。
ブタさんは絶滅の危機を逃れ、
人間はおいしくいただけて、
それによってブタさんはますます子孫繁栄していける。


人間の都合で作られた品種でありますから、
ブタさんにとってはいい迷惑だったでしょうけれども。

ほったらかしにしないハンガリー国民は素晴らしいと思います。



で、なぜ国賓なの?ですが、
マンガリッツァ豚の加工・輸出している会社が松本さんのマンガをネットで発見します。

自国の国宝をかわいらしく描いていることに好感をもち、
「日本の文化とハンガリーがつながったことに私たちは本当に喜んでいるのです」

その喜びを行動にあらわしたのが、おもてなしだったというわけ。




ただブタさんが好き!ということで描き始めたものが、
海を越えた向こう側の人たちを喜ばせ、縁ができた。

ドタバタでオタオタしっぱなしの松本さんですが、
この本には「ハンガリー行ってみたいなあ!」と思わせる楽しさが満載でした。



美味しいに決まってる・・・お正月用に・・・




今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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プロフィール

馬場亜紀

Author:馬場亜紀
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看護師免許をもっていますが、今は保育の仕事をしています。自身の子育ても真っ最中。
くわしくは「自己紹介」をご覧いただければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします☆

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