2018. 04. 26  
これ知ってればくじけないよ
もう、わかったでしょう
喜びは悲しみのあとにかならずやってくる


『喜びは悲しみのあとに(上原隆:著)』
です。



以前『友がみな我よりえらく見える日は』を紹介しましたが、
続編のような形のルポ、ノンフィクションです。

著者が取材を行う目的、それは、

つらいことや悲しいことがあり、自分を道端にころがっている小石のように感じる時、人は自分をどのように支えるのか?

これを知りたいと、それだけを思って話を聴くそうです。


いろんな人がいて、いろんな人生がありますね。
重い障害をもって生まれた子どもの介護をしていた父親。
戦力外通告されたプロ野球選手。
親が離婚し、母の恋人に暴力を振るわれた過去を持つ男性。
「リカちゃん人形になりたい」という欲望を叶えた青年。

他にもズンとくる人生を歩んだ人の話が掲載されています。

これらを読んでどう感じるか。
なんとなくなんですが・・・
もう死語でしょうか、「サシで飲む」なんてこと。

1対1で静かに飲みながら、ポツリポツリと近況やそれにまつわる心境を告白するというか、ただ語るという。
決して愚痴めいているのではなく。
でも明るい話題でもなく。

この本を読んでいたら、サシで飲んでるときのような心地になりました。

なんにもアドバイスはできないし、
励ますのもはばかれる。
「うん、そうなんだ・・・うん・・」と相槌をうつくらいしかできなくて。


でも、別れ際に、
「じゃ、また明日」と軽く笑って帰ることができる。

いい日になるかどうかは分からなくても、
明日を待てるかなと思えるくらいの明るさは戻ってくるような。


この本のはじめに、キャロル・キングの「喜びは悲しみのあとで」の訳詩が載っていました。


つらい過去を話してくれた友だちが
こういったよ
「人生でやらねばならないことなんて
案外いま、やってることだったりするのよ」

ね、あなたは暗くならないで
いまはつらいだろうけど
みんなそうしてる、あなたも大丈夫
これ知ってればくじけないよ
もう、わかったでしょう
喜びは悲しみのあとにかならずやってくる

(キャロル・キング作詞、原題「Bitter with the sweet」)


いい歌詞やなあ。
この本のための歌みたいに思えます。




全体的に暗めです。
今、落ち込んでいる・暗めだ~という人におススメ。
絶望読書系の、絶望しなくなる不思議な力のある本。



今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。
コメント欄開けました。
なにかしらお言葉をいただけると元気が出ます☆

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2018. 04. 25  
人生の3分の1は悲しみにあふれている。


『こわせない壁はない(鎌田實:著)』です。



日本を代表するあったかいお医者さま・鎌田先生の著書です。
人生にたちふさがる「壁」をどうこわしていくか。
先生が解決策を出しているのではなく、
先生が出会った「壁を壊して」いった人のエピソードを紹介する形をとっています。


どのかたのエピソードもじんとくるんですが、
私が心に残ったのはシスターの言葉です。


人生の3分の1は悲しみにあふれている。

だから、
壁の前でしゃがみこんでいてもいい。
時間が必要なときがある。

そして、素直になることができれば前進できます。



しゃがみこんでいてもいいと言ってくれる。
本当に優しい言葉だなあと感じました。

鎌田先生の著書は「がんばる」とか、「必死」を良しとしないものばかりです。
でも今回はとくにがんばらないことがじわんと沁みてきました。

先生自身が「パニック障害」になったことを告白されていたのです。

あの発作の恐怖はなった人にしか分からないほどの怖さがあるそうですね。
呼吸困難になりますから、死を感じてしまうのだとか。

その頃の鎌田先生は嫌いなことをすると発作がでる、
家庭では娘に嫌われて、全てがめちゃくちゃだ!と感じていたみたいです。


思い切ってイヤな仕事はやらない。
患者さんには励ますばかりだったのを、一緒に泣いたりする。
こうやってちょっとずつ回復してきたと語っておられます。


自分の弱さをそのまま出すように、
イヤなことを「人のためだから」と自分を我慢させることをやめて、素直になることで「壁」に穴をあけることができたんだなあ。


先生ほどの人でも、壁の前で呆然としていた。
そしたら私がいっとき、しゃがみこんでいてもいいんだなと思えます。




「人生の3分の1は悲しみであふれている」

いろんな別れ、離れていくこと。
才能がない、勉強ができない、自分に自信がない・・・
そういったモノたちですでに3分の1は悲しみ。

さらにニュースなどで悲しいものを拾い集めることをしていたら、
人生の大半が悲しみであふれかえってしまいますね。


美しい景色を探すな。
景色の中に美しいものを探すのだ。

  (ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ)


こうやって悲しみを増やさない努力をするだけ。
そしてあとは、素直になるだけ。
素直になるのが一番難しいのかもしれないですね。

でもまずは、しんどくなったら、しゃがんで休む。
これを忘れないようにしたいです。


今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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2018. 04. 22  
『アメイジング・グレイス』を授かっているのよね。


『虹の岬の喫茶店(森沢明夫:著)』です。



おいしいコーヒーとお客さんの心に寄り添う音楽を提供してくれる音楽のソムリエ。
喫茶店の店長さんがソムリエの連作短編集です。


第一話、妻を病気で亡くしたばかりの男性とその娘が岬の喫茶店にやってきます。

大切な人を亡くした落胆と哀しみと憔悴。
そんな男性に音楽のソムリエは、「アメイジング・グレイス」を静かに流します。

ソムリエさんもずっと前にダンナさんを亡くしているのでした。


「アメイジング・グレイスって、驚くほどの恩恵、って言うのね、直訳すると」
「人間って、生きているうちに色々と大切なものを失うけど、
でも、一方では、『アメイジング・グレイス』を授かっているのよね。
そのことにさえ気づけたら、あとは何とかなるものよ」




自分にとっての「アメイジング・グレイス」に気づく・・・。
小説のなかの男性は、娘の存在がアメイジング・グレイスだと気づきますが。

もしも、気づけないとしても、
自分が「アメイジング・グレイス」な存在だったことは事実だなあと。


どんな人にも親がいて。
自分が生まれた瞬間、どんな親も安堵と喜びしかなかったはず。

親にとって、自分はアメイジング・グレイスな存在だった。
こう感じるだけでも、絶望しなくていいと思えるのです。


それにアメイジング・グレイスな存在って、
人に対してだけじゃなくても構わないですよね。

すごく大事にしてる写真集やCDがアメイジングでもアリかな。
恩恵って、けっこうたくさんもらえてるんじゃないかと思えます。


音楽のソムリエがほかに選んだ曲は・・・

ガールズ・オン・ザ・ビーチ(ザ・ビーチ・ボーイズ)
ザ・プレイヤー(ドニー・マクラーキン、ヨランダ・アダムス)
ラブ・ミー・テンダー(エルヴィス・プレスリー)


ここでは「アメイジング・グレイス(ケルティーク・ウーマン)」の動画を載せておきます。
パグパイプの演奏が望郷の印象を与えてくれます(5分)。





いじわるな人や嫌な人間は出てこない。
だからといってのほほんと生きていられるわけもなく。
いい人にも辛いことはやってくるんですよね。
それでも手にしている「アメイジング・グレイス」を大切にするために、
生きられるだけ生きていくんですね。



今日も最後まで読んでくださってありがとうございます
今日はコメント欄閉じます。

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2018. 04. 18  
無理して全部飲み込まなくてもいいじゃない。
外に出すのはきれいで優しい言葉ばっかり。
そんなだからサヨリになっちゃうんだよ。



『居酒屋ぼったくり④(秋川滝美:著)』です。



普通の家庭で作れるような料理ばかり出すんだから、
「ぼったくり」と呼ばれるくらいでちょうどいいんだ。

こんな信条をもった両親が経営する居酒屋を引き継いだ美音(みね)と、
賑やかでクセのある常連客たちとが、美味しいものを食べて元気を出していく短編集。


今回紹介するのは春が旬の魚、「サヨリ」のお話。
短編の最後に必ず、作者のコラムがあるんです。
銘酒情報や簡単なつまみの作り方など。

サヨリのお話のコラムでは、
「なぜ、サヨリは腹黒いのか?」という豆知識でした。


サヨリは青白い半透明の、細長い魚。
捌くと中は真っ黒。
腹が、というより、腹膜が、なんですが。
サヨリは腹黒い

サヨリは昼行性の魚で、しかも海面近くを泳ぎます。
半透明の身は太陽光を通しやすく、身体を透過した紫外線が内臓にダメージを与えてしまいます。

そしてサヨリは植物性プランクトンをエサにしています。
もしも太陽光がお腹に届いてしまうと、生きたまま飲み込まれたプランクトンがお腹の中で光合成を始めてしまいます。

内臓へのダメージを防ぐ。
エサにしたプランクトンが光合成を行わないように。

そのためにサヨリは「腹黒く」なったそうです。


見た目の美しさと味の良さで「貴婦人」と呼ばれる一方、
昔は腹黒い人に対し、
「あの人はサヨリみたいだ」なんて言ってたらしいです。
(私は今まで聞いたことがありませんでしたが)


生き物ってすごいですよね。
理由のないことなんて、何一つないです。
合理的。


小説では腹黒人間は出てきません。
逆に、善い人すぎじゃないかと、美音は心配しています。

まったく愚痴も弱音も言わない常連客に、

「悪口を言う人はいい印象を与えない。
けれど、普段から黙々と頑張っている人が、耐えかねたように漏らす悪口はちょっと違う」


こう思いやってしまうのです。


誰にもなんにも辛いことや怒っていることを言わず、自分の中に溜め込んでいるような人。
きっといますよね。

溜め込むことがうまく発酵してくれればいいのですが。

もしかすると腐敗してしまう危険性もありますよね。
ちょっとぐらいなら、言っても大丈夫ですよ。

腐敗してしまったら、大爆発してしまいます。


無理して全部飲み込まなくてもいいじゃない。
外に出すのはきれいで優しい言葉ばっかり。
そんなだからサヨリになっちゃうんだよ。



看護では人体の勉強から入ります。
それで分かったのは、人の身体ってパイプだなということ。

入ったら出る、これがスムーズにできない身体が病気を起こす。

心も同じなんじゃないでしょうか。

いらないもの、あったら毒素になるものは排出しなくちゃいけない。
言っても大丈夫な相手に、
「今日だけ言わせて!」と吐き出す。

これって、言われたほうは
「信頼されてるんだな」と嬉しいものなんですよね。

だから。
大爆発してしまう前に、ちょっと吐き出す。

腹黒いのは黒いかもしれないけど、
美味しいサヨリのようにいい味を出す人間になれる。
そんな風に感じます。




滅多に弱音を吐かないあなたを尊敬しています☆



今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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2018. 04. 17  
きっと私は『花粉症』とかいうものになってしまったのだろう。
そうでなければあんなに涙が流れるわけがない。



『優しい死神の飼い方(知念実希人:著)』です。



この世に「未練」を残したまま亡くなると、その霊は自縛霊となり、
あの世へ導くことができない。
人間に接触し、未練から解き放ってやれ。

こんな使命を受けた死神が、
「ごおるでんれとりば」の姿になって人間界で任務にかかります。

ごおるでんれとりば、犬の姿になったということ。
心優しい看護師に拾われて、その人が働くホスピスで飼われることになりました。


「ハートフルミステリー」とありますが、
私の感想としては、
「今を生きるとはどういうことか」を伝える小説だったと感じました。


末期ガンで余命わずかな青年画家。
ある事件がきっかけで絵が描けなくなっていました。

もう手遅れだ・・・オレの人生・・・なんの意味もなかった。

死神にそう打ち明ける画家。
死神はこう言います。


お前はもう死んでいるのか?
お前は『もう絵を描く時間がない』と言った。
いつの間に時間がなくなった?

いつの間にお前は死んだんだ?

たしかにお前は死ぬ。数週間か、数日後か。
だがそれがどうして『絵が描けない』ことになる?

どれだけ生きればお前は『絵が描ける』のだ?
数年か、数十年か?
それとも永遠に生きたいとでも言うのか?

お前がするべきことは、
残された時間の短さを嘆くことなどではなく
その限られた時間の中で精一杯生きることだけだ。




私、これとよく似たセリフを思い出しました。
「北斗の拳」。

モヒカンのお兄さん
「テメェ!なにしてやがんだあ~~!?」

ケンシロウ
「お前はもう、死んでいる」

モヒカンのお兄さん
「ああ~!?なにをぬかしやがっ・・・ひでぶっ!!」


全然、逆?
いえ、言ってることは反対でも、言わんとしてることは同じ。

なにかやっておきたい(しなくては)なあ・・・・。

そんなとき、
まだまだ時間がある、今じゃなくてもいい。
もう間に合わない。

この二択をしてしまいがちなんです。

モヒカンのお兄さんモードなら、
「今死ぬわけじゃないしぃ!今じゃなくてもええやん」

画家モードなら、
「やっても無駄。間に合わないからやらない」

どちらかのモードを行ったり来たり。
つまり、いい言い訳にしちゃってたなあ・・・と。


著者の知念氏、現役の内科医なんですって。
内科医って、患者さんの話をじっくり聴くことが仕事の半分です。

そして、最期を看ることになるのも内科医が多いのです。
そんな仕事を続けてきて、
未練を残す患者さんを多く見てきたからこそ、

人はいつか必ず死ぬ。
だからこそ、今できることを今精一杯する。
それが生きること。

これを伝えたかったんじゃないかなあと感じたのです。
生きるって、これしかないんだなと・・・。
やりたいことはサッサと始めてみたらいいんですよね。
ダメならやめればいいだけで。




ハートフルを感じるのは、死神がどんどん「感情」というものを理解してくるところ。
そして、だんだんだんだん、犬らしくなっていくところが、
とんでもなく可愛らしいのです。
本格的ミステリーを好むかたには物足りないかもしれませんが。
犬好きのかたにはおススメです。
奇跡は起きず、死はやってきます。
ですが、こんなに温かな気持ちで見送れるんだと感動でした。



今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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プロフィール

馬場亜紀

Author:馬場亜紀
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本の中の心に刺さる一文をご紹介いたします。
看護師免許をもっていますが、今は保育の仕事をしています。自身の子育ても真っ最中。
くわしくは「自己紹介」をご覧いただければ嬉しいです。
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