2018. 04. 24  
何が信じるに足る情報なのか自分の頭で考える・・・
それを教えてくれたのは貴様らだ。
それだけは感謝する!


マンガ『Dの魔王(原作:柳広司 作画:霜月かよ子)』です。

Dの魔王(1)【期間限定 無料お試し版】 (ビッグコミックス)


「ジョーカー・ゲーム」、「幽霊」の二編が収録されています。
ここでは「ジョーカー・ゲーム」を紹介します。

昭和13年、「D機関」と呼ばれる陸軍のスパイ養成所が舞台。
D機関と参謀本部との連絡係を任命された佐久間中尉。
帝国軍人らしい、一途な考え方をもっています。

「スパイ行為は卑劣だ」
「国のために死ぬ」
「信じられる仲間がいるから未来が明るくなるんじゃねえかよ」

養成所の三好少尉に突っかかっていきます。
それを受ける三好は平然とこう言い放つのです。

「仲間、信頼という通念は、”D”では全くもって価値がない。
むしろ命とりです」



D機関のトップであり、”魔王”と呼ばれる結城中佐も言います。

「貴様が何を信じていようが構わん。
シャカだろうがキリストだろうがイワシの頭だろうがな・・・
ただし
それが本当に 自分の頭で考えた末に信じたものならばだ」



信じる。
尊いもの、ですよね。

信じるとは、「ほんとうだと思って疑わない」と辞書にあります。

信じて・・・それが間違いのときもある。そのとき、
「信じていたのに・・・!」
この、「のに」。

裏切られた感。
怒り。
絶望。
恨み。

自分の頭で考えずまわりに流されての考えだったとしたら、
こういったものにつながっていくんだなと感じます。


検証し、考えた末の選択ならば、たとえ裏切られたとしても、
恨みなどの感情はかなり少なくて済みそう。

まわりに合わせず、いついかなるときも自分の頭で考えて選択する。
実際の状況でそうできるかどうか、自信がなくて・・・。
でも、そうでありたい。


もしかすると、丸ごと信頼してしまえるほどの信じる力をもてることが幸せなのかも?
「普通のカラスは白色だ」と言われて、
「そうですね!」と言ってしまえるほどの信頼。
これもまた幸せなんだと思ったり。

どっちなのか分からなくなります。
まるで佐久間のように・・・。


「何が信じるに足る情報なのか
自分の頭で考える・・・
それを教えてくれたのは貴様らだ。
それだけは感謝する!」


最後、佐久間は自分の頭で考え、
結城からの「スパイにならないか」を断ります。

物語を見ているこちらとしては、
ああ、そっちを選んでしまうのかと哀しくなってしまいました。

けれど佐久間の晴れ晴れとした表情、
自分で考えて決断した、自分の人生は自分で決めるという潔さ。
清々しいラストとなっています。


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本格的なスパイ物とはいえないですが、
昭和13年の日本の雰囲気を味わえますし、絵がいいですね。
エンターテイメントとして興味が湧いたなら、おススメです。
4月26日22時までの期間限定無料となっております。
アマゾン会員でなくてもどなたでも無料で読めます。
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こちらから、まるごと試し読みもできますよ→Dの魔王


原作小説は『ジョーカー・ゲーム』です。こちらも面白いのです!
(でも実は、マンガのほうが気に入りました(笑))





今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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2018. 04. 19  
誰を彼と われをな問ひそ 九月の
露に濡れつつ 君待つわれを



『小説 君の名は。(新海誠:著)』です。



大ヒットアニメ映画の監督自らが書いた原作小説です。
私はまだ映画の「君の名は。」を観ていないんですよね~。

最初は少し読みづらかったのですが、ちょっと話が進んで、
みつはちゃんがタキという男子高校生の身体になって目覚めたところとか最高に笑えました。


男の体っていったいなんなのよ!?
おしっこをしようとすればするほど、なんとか指で方向を定めようとすればするほど、
排尿困難な形状になっていくってのはどういうコトなんよ!?
アホなの、バカなの!?それともこの男がヘンなの!?



アハハ!高校生って大変なんやなあ。
ここ、映画ではどういう風に表現されてたんだろうと気になります。


新海監督の「あとがき」がありました。
なぜわざわざ小説を書いたのか?
映画の原作として話を創るのは当然だけど、別に小説にしなくてもよかったのです。
なぜ書いたのか・・・。


この物語はもちろんファンタジーだけれど、でもどこかに、
彼らと似たような経験、
似たような想いを抱える人がいると思うのだ。

大切な人や場所を失い、それでももがくのだと心に決めた人。
未だ出逢えぬなにかに、
いつか絶対に出逢うはずだと信じて手を伸ばし続けている人。
そしてそういう想いは、映画の華やかさとは別の切実さで語られる必要があると感じているから、僕はこの本を書いたのだと思う。



「それでももがくのだと心に決めた人」
こういう人を想像して創られたお話。
全編を通して星のような、ガラスのかけらのような輝きを放つ理由がわかりました。


冒頭に和歌を書きましたが、みつはちゃんの授業風景です。

「誰を彼(たれをか)、これが黄昏時の語源ね。
夕方、昼でも夜でもない時間。
人の輪郭がぼやけて、彼が誰か分からなくなる時間。
人ならざるものに出会うかもしれない時間。
魔物や死者に出くわすから『逢魔が時』なんていう言葉もあるけれど、
もっと古くは、『かれたそ時』とか『かはたれ時』とか言ったそうです」

「はーい、先生しつもーん。
それって『カタワレ時』やないの?」



カタワレ時がこの世ならざるものに出逢う時間。
そしてみつはのおばあちゃんの言葉。


「糸を繋げることもムスビ、人を繋げることもムスビ、
時間が流れることもムスビ、ぜんぶ、同じ言葉を使う。

それは神さまの呼び名であり、神さまの力や。

よりあつまって形を作り、捻じれて絡まって、
時には戻って、途切れ、またつながり。

水でも、米でも、酒でも、なにかを体に入れる行いもまた、ムスビと言う。
体に入ったもんは、魂とムスビつくで」



ムスビ。
過去の私にはムスビに捉われていたところがありました。
ムスビ(縁とかですかね)を辛く感じる自分が間違っているのだと、
これを乗り越えればいいんだと思おうとしていたなあって。

ムスビと一緒に、私は「ほどく」こともできることを忘れたくないなあと思うのです。
そう感じながら、ほどき過ぎてきてしまったのか・・?なんてことも感じたり。
どっちがよかったのか、今はよかったのだと思いたくて。


そしてこれからも、ほどいてはこんがらがって、
もがき続けることを選ぶだろうと思えます。
この小説、読んでよかった・・・。




みつはの住んでいる集落や彗星など、
映像の素晴らしさは映像でしか確かめられないですね。
だから、映画を観たくなりました。



今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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2018. 04. 16  
あの『待ち人』ってなんなんでしょうねえ。
運命の人?



2030年の日本が舞台の短編集、『2030年の旅』より、
「逍遥 (恩田陸:著)」を紹介します。



技術が進歩した日本で、のんびりした様子の会話です。

おみくじといえば、僕、あれも不思議です。
『待ち人』の項。
あの『待ち人』ってなんなんでしょうねえ。


運命の人?

いえ、結婚運と恋愛運とは別なんですよ。
よく、『待ち人来らず』っていうでしょ。
あの『待ち人』は誰なんだろうって。




これ!
私も気になってて誰かに訊いてみたいなと思いつつ、
ずっと訊きそびれていたことです!

おみくじの『待ち人』って、誰なんですか?

私、誰を待っていたのかしら?
そもそも待っていたっけ?

同じように感じたことはないですか?


今年のお正月に大阪のまあまあ大きな神社でおみくじをひきました。
私はおみくじは持って帰ってくるので、手元にあります。

ありますよ、『待ち人』の項。
私のは、「おそけれど来る」とあります。

・・・年末くらいにやって来るのでしょうか。
誰が待ち人だったか分かるかなあ?(笑)


小説内ではこんな答えを出しています。

結婚の相手でもなく、仕事の相手でもない『待ち人』、
僕が思うに、あれは何か、
『運命』とか『天啓』みたいなもののことを指すんじゃないかと。



調べてみても、これだ!という回答がないんですね。

一番しっくりした答えが、
「あなたの運命を良いほうに導いてくれる人」

これなら、誰か分からなくても仕方ないというか納得がいくなあと。
ちょっとすっきりできました。


こう書いてみましたが、私はおみくじの項目はさほど気にしていません。
運勢も「末吉」でしたが、それもまあ、いいのです。

私がひくおみくじには、裏に「神の教」というものが書かれています。
それを今年1年のお言葉として動きたいなと思っています。


今年の「神の教」はですね・・・

なさけこもった其一と言に死んだ心も生き返る。
常に神様と御一体になって、暖かい心を養い、
よい言葉、優しい言葉で人を慰め、人をいたわり、
明るい世の中を作りましょう。



世の中を明るくするほどの大きなことはできないけれど、
自分の周りを明るくすることを大切にする年にと願って動きます。




どれだけ技術の進歩がすさまじくても、
2030年もまだ「おみくじ」はあるはずですね(あってほしい)。


今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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2018. 04. 14  
本当の人間らしさとはいったい何だと思う?


「144C (瀬名秀明:著)」です。



『2030年の旅』に収録されている短編です。
人工知能(AI)が小説を書いた・・・というお話。

人工知能が書いた小説というものは存在しているんですよね。
それがまた、けっこう読ませるものになっているそうで。

ついに物語を書いちゃうのか~って思ってしまいますが。
AIの書いた小説に感動したら、アホみたいですか?


今回紹介する短編は、AIが書いた小説だと知らずに読まされ、感想を聞かれた編集者志望の若者が苦悩するのです。
「そんなものに感動した僕は、編集者になれないのでは?」と。
冒頭の言葉は彼の師匠の質問なのです。


本当の人間らしさっていったい何だと思う?
書き手がそこを目指すとき、
どうして読み手も気づこうとしないの?

本当に人間らしい作品は、
本当に人間らしい読み手によって真に創造的となる。



誰がなにを思って書いたとしても、
それを読む側がどう受け取るか、読み取るか。
それは読み手次第でどうにでも変わってしまうんですよね。


悪意のある人はなにを読んでもそこに悪意を感じるでしょうし。

誰が書いても、AIが書いたとしても、
読み手が人間らしく「感じ」なければ、
どんな名文も名作もなんの感動も生みはしないんですよね。

あらためてそのことを意識できました。

物語って、ストーリー性と、
言葉の組み合わせがどれだけ意外で新鮮で、ということが決め手になるんじゃないかと思っています。

新しい言葉をつくって物語を書いているのではないですよね。
現存する言葉の組み合わせの妙に、
感動したりするところも大きいのです。

だからもしAIの小説で「この表現、好きやなあ!」と思うことがあったとしても、
それはとくに恥ずかしいことでもなんでもないなあと思いました。

こういう話とセットで、
「小説家という職業は廃れてしまうのか?」みたいな問題も言われますが。

将棋や囲碁でAIがプロに勝ったからといって、
囲碁や将棋をやる人がいなくなったわけではないですよね。

逆に話題になるから競技人口としては増えたんじゃないでしょうか。


AIの脅威みたいなものがクローズアップされがちですが、
それを動かすのが人間である限り、
人間らしさはなくならないし、
より一層の人間らしさを見つめなおすきっかけになりそうだと思いました。

心底ビックリするときは、AIが感想を言い出したときかな。
そのとき、友だちになれるんじゃないでしょうか☆




7つの短編すべてが、2030年の日本が舞台となっています。


今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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2018. 04. 13  
「お先にどうぞ」の精神が日本を幸福にする。


『すごい人のすごい話(荒俣宏:著)』です。



知識王:荒俣宏氏と15人の賢者たちの対談集です。
私がおもしろいと思ったのは、
「渋滞学」をされている西成活裕先生のお話でした。


・渋滞とはどんなものがある?


渋滞大好き!って人はどれくらいいるのでしょう。
私はまだ出会ったことがありません。
「渋滞」といえば、道路ではないでしょうか。
ほかにもこんなのを「渋滞」というそうです。

災害の避難時に発生する渋滞
通勤電車やイベント会場の混雑
レジの行列
つながりにくくなる「通信」の渋滞
「血液の渋滞」は病気を引き起こす「体内」の渋滞


流れがとどこおるものはすべて「渋滞」とみなしているみたいです。


・みんなが少しずつ我慢すれば、すべてよくなる。


渋滞の最大の原因は、「われ先に」の精神だと先生は言います。
たとえば道路の交通渋滞。
いつも渋滞する道路は、

「車線を増やせ」「道路を広くしろ」「もっと道路を作れ」

こんな要望が出て、これが叶えば渋滞が解消されると思いがち。
ですが、これは日本の発展とともにやってきています。
それでも渋滞は解消されません。

実は、一人一人が時速を20~30km落とし、
車間距離を40mあけて運転すれば、
渋滞は起こらないと先生は言っています。

そのほうが時速100kmで走って渋滞が起こるよりも、
目的地に早く着くし、燃費も4割よくなるそうです。

イベント会場から出るときも同じです。
終了後、みんなが「われ先に」と出口に押し寄せます。

距離を詰めない。
それだけで流れがスムーズになるのです。


先生が研究している「渋滞学」は、
昔からあることわざ、
「損して得とれ」、「急がば回れ」、「情けは人のためならず」を、
数字で確認しているだけですと。


ことわざと渋滞がつながっているなんて。
不思議だな~と思いませんか。

昔の人は数値がなくてもわかっていたのでしょうか。
「お先にどうぞ」と譲る精神が自分のためになっていることを。

そういうことを日々実感できる生活をしていたということでしょうか。
先人たちとは賢者集団のことなのでは。


どこかでそういう感覚をなくしてしまったんでしょうね、私たち。
でもね、いい話もあるんですよ。

エスカレーターって、片側をあけて立ちますよね?
急いで歩いて上る人が歩けるように。

これ、20年前にはなかったそうです。
いつのまにか、自然とこうなった現象だとか。

急いでいる人がイライラしなくて済むシステムを編み出しているんですよね。


先生はこう言っておられます。


他人のためにしたことが自分に返ってくると知れば、
誰でも利他主義になれます。
あとは長期的な視点をもつこと。
20年、30年先を見据えて新しいシステムをつくる。
人間にはそれができるはずです。



渋滞で進まない、行列で待たされる。
どれもイライラすることばかり。
ですが、ひとりひとりがちょっとだけ変えれば、ストレスは解消されると研究でわかったのです。
これから少しずつでも、「お先にどうぞ」が戻ってくると思えました。




あえて暗い話題を題材に語り合い、
それでも賢者たちは、日本の未来は明るいと予測しています。
会話なのですいすい読めて、明るい希望をもてます。



今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

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プロフィール

馬場亜紀

Author:馬場亜紀
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本の中の心に刺さる一文をご紹介いたします。
看護師免許をもっていますが、今は保育の仕事をしています。自身の子育ても真っ最中。
くわしくは「自己紹介」をご覧いただければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします☆

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