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湯かけたら祟るでぇ、山本周五郎『ひとごろし』

2017.05.31(06:45) 308

神でさえ、不意に投げ捨てられた湯茶を避けられない


『ひとごろし(山本周五郎:著)』に面白いことが書かれている箇所があります。


短編集です。


窓から外へ湯茶を捨てるものではない。家の周囲にはいつも荒神さまが見廻っているから、捨てた湯茶が荒神さまにかかるかもしれないし、そんなことになると罰が当たる。



こんな風に躾けられたかたもいらっしゃるかもしれませんね。
そしてこんな文章が続きます。


荒神さまといえば、とにかく神であろう。
神ならなにごともみとおしな筈であるのに、窓から捨てられる湯や茶がよけられず、ひっかけられてから怒って罰を当てる、というのはだらしのないはなしである。



たしかに!
神様のくせに、お茶をよけられず、ぶっかけられたと言って人間に罰を当てる。
なんというか、荒神さま、小っさ! 小さいヮ。
神様、そんなことで怒り狂うんかい?って思いますよね。
たしかに、だらしない。


「荒神さま」って、どんな神様なんだろう?
そう思ってちょっと調べてみたんですけど、どうも地域によって信仰の仕方とかいわれなどに差があって、
「これが荒神さまだ!」というのはなさそうです。

大まかに説明するとすれば、
不浄を嫌う
台所で一番大切な火と水をお守りくださるので、「かまどの神様」とも呼ばれている。
荒神というだけあって、激しい性格で、祟りやすい



「かまどの神様」は聞いたことあったけど・・・
最後の、「祟りやすい」って、なに!?
立派なのかワルなのか、わかりにくい神さまやなあ。けど、面白い・・・。



小説の文章はこう続きます。


神でさえ、不意に投げ捨てられた湯茶を避けられないとすれば、人間である昇軒(登場人物の名前)はなおさら避けることができないだろう。


神様にもよけられない、不意に訪れる「まさか」という、あらゆる災難、不合理など。
人間にだってもちろん振りかかってくるんですよね。
避けられないから、どれだけ受け入れられるか。
それが成長するってことかな。


災難に見舞われたからといって怒っても嘆いていてもなんにもならない。
「やっぱり来たか、さて、どうするかな」くらいの余裕をもって。

とりあえず、祟ることはやめておきたい。神通力もないしね。
そっちは荒神さまに任せておきます。



主人公が最高のアイディアを思いついて、問題を解決します。痛快。


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そのうちまとめて一気に誰かがやってくれるの?

2017.05.30(06:45) 307

『ムダな努力はない 人生の行動指針220(鍵山秀三郎:著)』


イエローハット創業者であり、「そうじの神様」とも呼ばれています。

鍵山氏の考え方や行動の基本が、220項目、短い文章になっています。
220個すべてが素晴らしいんですけど、その中で最も「これは実践したい」と思うものが、


「毎日、できるだけ、少しずつ、私が」


これは、ちょくちょく陥ってしまう私の考え方(言い訳)の、
そのうち、まとめて、一気に、誰かがの真逆をいく言葉です。
   ↑
これら、思い当たることはありませんか? 私だけかな。
少しめんどくさいことが発生したら思ってしまいがちな、そのうち・まとめて・一気にやろう、誰かがやってくれるんじゃ・・・


誰もやってくれない!
自分がやるしかないのだ!
「そのうち」や「いつか」は永遠にやってこないのだ!


毎日、できるだけ、少しずつ、私が

これをやっていけば、大変になることはないと思います。
すごく大切にしたい考え方です。



☆他にもいい言葉はあるんですよ。選びきれませんが、もう少しだけ・・・
・よいことに手を使う

・よいことを考える人が、頭のよい人

・「言っている」ことを「やっている」ことにする
・「知っている」ことを「できる」ことにする



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ひとつ拾えばひとつだけきれいになる

2017.05.29(06:45) 306

誰にでもできる簡単なことを、誰にもできないくらいに続けてきた

先日は世界一清潔な空港の清掃人・田中春子さんを紹介しました。
田中さんは清掃のプロとして四半世紀以上輝いておられます。

もう一人、半世紀以上、「そうじの神様」として輝いておられるかたがいらっしゃいます。
イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏です。



80歳を過ぎた今も、
日本全国はおろか、海外まで行き、素手・素足でトイレ清掃を実践されています。
旅費は自腹。
完全にボランティアです。


なぜそこまで徹底してそうじをするのか。
そうすることで、何がどうなるのか。


イエローハット創業は1961年、高度成長期でした。
創業したばかりの会社経営は最悪の状態。
そしてそのころの社員はみな、心が荒れていた、鍵山氏にはそう見えました。


金を稼げばいい、
今さえよければいい、
自分だけよければいい・・・

世の中全体がこのような風潮に急速に変わっていっていたのです。
鍵山氏はこう考えました。


人の心は取り出して磨けるものではありません。
心を磨くには、とりあえず目に見えるものをきれいにしてみてはどうか。




最初の10年間、社長の鍵山氏のそうじを手伝う人は一人もいなかったそうです。
鍵山氏がそうじをしている隣で用を足す社員もいたほどだったとか。


それが10年後。
社員の中から1人、2人と鍵山氏を手伝うものが出てきました。

20年後。
社員たちは社外の清掃も行うようになりました。

30年後。
日本全国の学校などに、掃除道を伝えてほしいと頼まれるようになりました。
「日本を美しくする会」も発足し、じんわりと掃除道が広まっています。

会社は赤字を脱出、安定した経営が続いています。
何より、社風が良くなったそうです。




最初の10年間、本当に「あいつは頭がおかしい」と言われ続けていたそうです。
「そうじなんかして、何になる?」と。

鍵山氏は、社員の荒れた心をどうにかしたかったのです。
語ってはおられませんが、松下幸之助の提唱する「心を磨く」などの訓示も、社員たちに毎日毎日聞かせただろうと想像します。
でも、変わらなかった。


人を変えることはできない、だから、自分が変わる。
見えるところをきれいにしよう、これなら自分にもできる。
ここが出発点です。

鍵山氏自身、そうじをすることで自分の心が穏やかに健やかになっていくことを実感したのです。
間接的に自分の心を磨くことになったのでした。



1人でずっと掃除を続ける。
なかなか出来ることではありません。

不特定多数の人間が使っているトイレを素手でそうじは・・・手が出せないです。

ここまで凄いことを真似しようにも、やはりハードルは高い。
だから、せめて落ちているゴミをひとつ、拾う。
ここからなら出来るはず。


小さいことをやり続ける凄さを「腹筋」に例えることができます。
毎日50回の腹筋を自分に約束させると、どうにも苦しそうです。
だから、毎日3回だけ腹筋する、と決めるのです。

たった3回。

だけど、1年で1000回腹筋したことになります。
そう思うと、凄くないですか?


道にゴミを捨てる人は、ゴミを拾わない、絶対に。
道のゴミを拾う人は、ゴミを捨てない、絶対に。

私は後者になりたい。
心無い人が捨てた良心を拾っていきたい。







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世界一清潔な空港の清掃人

2017.05.28(06:45) 304

清掃の仕事は確かにきついです。3Kって言われてる。
まだ社会的地位も低いと思う。
でも、だから何?

私は清掃の仕事が大好きです!



こう言い切るお方は、羽田空港で「日本一の清掃人」と呼ばれる新津春子さん。
実際、羽田空港は世界一清潔な空港として、2013年・2014年に1位を獲得しています。



NHKの番組で取り上げられ、クローズアップされた新津さんの仕事っぷり。

「誰がやったから、じゃないのよ。
きれいですねってお客様が思ってくれる。それで十分じゃないですか。
お客様が喜んでくれれば、それでいいんです」



空港を利用する人のなかには、
目の前にゴミ箱があるのに、床にポイっとゴミを捨てる人がいるそうです。
まるで、清掃の人に「お前が拾えばいいだろ」と言わんばかりに。

そんなときはさすがに、「わたしたちも人間ですよ」と思うそうです。
でも憤りの感情はぐっと抑えて、ゴミを拾うのです。

価値観の違う人を一人ひとりつかまえて説教したって仕方ない。
それよりも、社会の価値観を変えていきたい。
空港を自分の家だと思って掃除をするのです




残留日本人孤児2世


新津さんの父親は、中国残留孤児です。
新津さんは、中国生まれの残留日本人孤児2世となります。


中国でいじめられました。
「日本鬼子!(リーベングイズ=日本人は鬼畜、人でなしという意味の差別用語)」とさんざん言われました。

17歳のとき、日本に帰国。
日本語はできません。
就ける仕事は清掃の仕事しかありませんでした。

日本でもいじめられます。
職場で誰かの財布がなくなったら、
「どうせ中国人でしょ・・・」と言われるのです。


私の想像できないほどの辛さをくぐってこられたと思うのです。
歯を食いしばって。

そんな新津さんは、自分の過去はあっさりと語ります。
もう乗り越えてきたから、こだわらないのでしょうか。

もともと強い人だからでしょうか。
目次の小見出しからでも、新津さんの考え方が分かります。


・自分の人生をめいっぱい生きていたら、親は喜んでくれるんじゃないかな
・私は自分と自分を比べます
・常に誰かに合わせていると、元の自分がわからなくなってしまう
・楽しくなくても、楽しく見せることは必要です
・納得できないことは聞きます。聞かないのは自分の責任です
・みんながうれしいことが、とてもうれしいです



芯のある強さを感じます。
この強さはもともとの性格だけで培われるものでしょうか。
性格が強ければ、いじめに屈しないでいられるのでしょうか。
それとも、いじめを乗り越えてきたから、強くなれたんでしょうか。


『世界一清潔な空港の清掃人』はとても素晴らしい本でした。
欲を言えば、新津さんの強さにもっと触れた第2弾も期待します。
この強さの秘訣を知ることで、きっと救われる人がいるだろうから。



インタビューで、仕事の流儀とは?と聞かれて、新津さんはこう回答しています。

心を込める、ということです。
心とは、自分の優しい気持ちですね

清掃をするものや、それを使う人を思いやる気持ちです。
心を込めないと本当の意味で、きれいにできないんですね。
心を込めればいろんなことも思いつくし、自分の気持ちのやすらぎができると。
人にも幸せを与えられると思うのね」


どこに出かけても、「ここは他人の家だ」という気持ちで使用したいな。
そう思うようになりました。


家庭でできる掃除のプロのコツ!



今日もありがとうございます。
長男が遠足から帰ってきたら、誰かがほったらかしにしていたゴミも持って帰ってきていました。じ~ん。


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手遅れになる前に、「孤独論 逃げよ、生きよ」

2017.05.27(06:45) 303

『孤独論 逃げよ、生きよ(田中慎弥:著)』




田中氏といえば、2012年に芥川賞受賞の記者会見で、
「都知事閣下と東京都民各位のために、もらっといてやる」
この発言で騒がれましたね。

そんな作家のエッセイです。

タイトルどおり、「逃げていい」というメッセージです。



やりたくないことはやるな

できないことと、やりたくないことを明確にする。
今の仕事が体力的にきつくても楽しいならやればいい。
でも辛いだけなら奴隷になっている。今すぐ逃げろ、とにかく逃げろ。
逃げることは、負けではない。




言いたいことはシンプルで明確です。
田中氏自身は高校卒業後から一度も働いたことはなく、
日中は文章を書き、夜は眠る、
実家にずっといる、清く正しいひきこもりさんでした。

田中氏のやりたいことは、小説を書くことだけ。
だから、他のやりたくないことは絶対にやらなかったのです。



この著書の言いたいことを、「なぜ逃げるのか?」を
更にシンプルに表現した絵本があります。

『にげた!(宇治勲:絵と文)』です。



インパラがチーターから逃げる、
オタリアがシャチから逃げる、
マダコがウツボから逃げる、
バッタがカマキリから逃げる、
敵わないから、逃げる。食べられちゃうから、逃げる。


きょうも ちきゅうの あちこちで
いきものたちが にげている

ちからのかぎり
だいちを けって
あしたが あるから
にげている



明日も生きるために、逃げる。
ただそのために、逃げる。



田中氏の主張はもっともなんですよね。
ただし、孤独になってしまう前に、逃げなくてはならないんじゃないかな。

奴隷のようになっていると気づければ、逃げる方法を考えられますが、
もう、それすら気づけないから、
本能が機能していない状態だから、手遅れになるまで逃げられないんですよね。きっと。
いえ、逃げるなんてことすら選択肢に入ってないんでしょう。

おそらく、誰にでも身体を心配してくれる人はいると思う。
自分の身体も危険を知らせてくれている。
けれど、その声が聴こえるかどうか。
そこを乗り越えていかないと、今後も哀しい例は出てきてしまう。


そして、「もう辞めるの?」の声に負けないように。
その声を聞き入れてしまって手遅れにならないように。
人がいても孤独になる。

孤独の見極めができるかどうか。
本能を潰してしまわないうちに・・・逃げろ!


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2017年05月
  1. 湯かけたら祟るでぇ、山本周五郎『ひとごろし』(05/31)
  2. そのうちまとめて一気に誰かがやってくれるの?(05/30)
  3. ひとつ拾えばひとつだけきれいになる(05/29)
  4. 世界一清潔な空港の清掃人(05/28)
  5. 手遅れになる前に、「孤独論 逃げよ、生きよ」(05/27)
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