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キモカワ動物6年連続第1位、「ハダカデバネズミ」

2018.02.28(06:55) 590

「はい、おっしゃる通り。私は裸で出っ歯です」




小川洋子さんの『とにかく散歩いたしましょう』というエッセイ本を読んでいたら、
冒頭の言葉が出ていました。

小川さんがインタビューで、
「執筆の疲れを癒すものって、何かありますか?」と質問されたとき、

「ハダカデバネズミです」と答えたそうな。
”裸で出っ歯です”と潔くさらけ出しているところがかっこいいと(笑)。

私も子どもと動物図鑑を見るようになってから知ったんですよ、存在を。
たぶん、私が子どものころの図鑑には載ってなかったと思います。


ということで、『ハダカデバネズミ(岡ノ谷一夫:著)』を。



強烈な姿なんですよね・・・
体毛がなく(全然ないわけじゃないけど、パラパラと申し訳程度に生えている)
上下の歯が突出して(唇の前に歯があるのです)
しわしわの皮膚(皮、あまりすぎ!)


ここ2~30年でやっと研究がすすんできたそうです。
意外にも、秩序あるハダカデバ社会を形作っています。


アリやハチのような社会


群れをなし、土の中に巣穴を張り巡らせて(モグラのように)暮らしています。
群れの大きさは平均80匹。
大きなところでは300匹にもなります。


その群れには、1匹の女王ネズミがいます。絶対権力者です。
次の地位には、女王と交尾するためだけの王様が1~3匹。
そして残りすべてが兵隊、雑用係です。


王様はね、おそらく世界一切ないオスですよ。

女王と交尾し、子孫を絶やさない使命をもつオス。
選ばれしモノなのですが、
女王に呼ばれたらイヤでも交尾しなければならない。
(オスに快感はなく、むしろ苦痛を感じていることが研究でわかっています)
交尾すればするたびにやせ細っていく。
たえず男性ホルモンを分泌させているため、免疫力が低下していて、
病気になりやすく、ハダカデバネズミの中でもっとも短命。


面白い役割があり、
雑用係のなかに、「ふとん係」がいます。


女王が産んだ赤ちゃんネズミたちの「布団」となるのです。
まさに、「肉布団」。

赤ちゃんをのせたふとん係たちは団子状態でくっつき重なりあい、
赤ちゃんが冷えないようにじっとしています。

ハダカデバネズミは哺乳類なのに変温動物なのです。
だから赤ちゃんはそのままだと冷えて死んでしまいます。

そしてなぜか女王もふとんの上で眠ります。
親子ですやすや。

写真もあるのですが、よくもまあ、
圧迫骨折とかせえへんの?ってくらい、
ふとん係はひしめきあってます。


でもね、みんなすやすや眠ってるんです。
ふとん係も(笑)。

なんだか幸せそうなんですよねえ。
赤ちゃんの肌に触れてるのってかなり幸せ感がありますが、
人間と同じように感じるのかなあ、なんて安らぎを感じました。



でもですね、ハダカデバネズミの生態研究は難しいそうです。
実は、実験室では女王が育児放棄をしてしまい、繁殖しなくなるとか。


ネズミの育児放棄?って思いますが、
原因として考えられるのは、「人口密度が高いこと」だそうです。


自然の生態では、巣穴の長さ(広さ)は3kmに及ぶのです。
でも実験環境ではせいぜい10m以下。

ケージの広さに対し、ネズミの数が多すぎるからじゃないかと予想されています。
これはすなわち、「ストレス」が原因ということですよね。



身もふたもない「裸・出歯」なんて名前をつけられ、
「キモカワ動物ナンバーワン」などと言われているハダカデバネズミ。

人間より秩序ある社会を作り、幸せに暮らしているなあ・・・。




鳴き声に19種類もあることもわかっていて、
言語学の研究としてもハダカデバネズミは貢献しているそうです。
未知の可能性を秘めています。


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すべてを失くした人を幸せにする毛糸

2018.02.27(06:55) 589

毛糸にふれれば、みんなしあわせ。
 
   

先日紹介した『ネンレイズム』は編み物クラブの存在も重要でした。
そのなかで、
「編み物は、春を怖くしてくれます」ってセリフがあって。

たしかに!冬を喜ぶ作業が編み物ですねえ。
編み物、全然できないし、過去にチャレンジしたものは仕上がらなかったという苦い思い出しかないんですが、ちょっと本を見るだけでも~・・・と見つけたのがこちらです。

『しあわせを編む魔法の毛糸(梅村マルティナ:著)』



著者の梅村マルティナさんはドイツ生まれ。
ドイツで医学を学び、奨学生として1987年に来日。
卒業後は京都の大学でドイツ語を教え、やがて日本人と結婚し、
そのままずっと日本で暮らしていらっしゃいます。


ドイツには、「オパール毛糸」とよばれる毛糸が作られています。
1本の糸がさまざまな色に染め上がっているのが特徴です。

おばあさんに編み物を教わり、自分でも編み物を趣味とされていました。


2011年の東日本大震災。
そのときマルティナさんは京都におられました。
そのとき東北に想いを寄せたそうです。

「つらくて何もしたくないとき、
毛糸があれば無心になり、少しだけ気が楽になる。
そんな自分のような人が、いるかもしれない」


避難所に毛糸を送ったところ、それが縁となり、

「編み物をすれば心は安らぐけど、それだけで本当の平和はこない」と、
住民票を気仙沼に移し、
梅村マルティナ気仙沼FSアトリエ株式会社」を設立。

毛糸玉およびニット製品の製造販売を行う会社の社員に、
地元の女性をどんどん採用していきました。


「津波で仕事を失った人、家をなくした人。
家族や親戚が大変な思いをした人もいます。
けれども毛糸に触れ、仕事に夢中になっている間は、
悲しみに触れることはありません。
なにより自分の定職をもっているということは、心と生活を支えてくれます」




異国からやって来た一人の女性が、ここまで日本人のことを思いやって行動されていたということを、
私は今の今まで知りませんでした。

本当に、すばらしい人というのは、ひっそりと、いたるところにいらっしゃる。
すばらしいですよね。


従業員のかたがたはこう言っておられます。

「誰かが喜んでくれるということは、
『がんばって』と言われるよりも大きな力を与えてくれる」



助けてもらってばかりでは元気になりにくいんでしょうね、人は。
働いて、それを「素敵なニットね」と喜んで買ってくれる人を見ることで元気になれる。
支える・支えられる
両方の役割をこなすことが、一番の力。


ニット以上の温かさを感じるエピソードに、
普段の興味と違うものに目を向けてみてよかったなと思いました。

編み物はできない私ですが、編み物をすることで少しだけ気が楽になる、というところは分かる。
たぶん、一字一句を追う読書と似ていると思うので。

自分にできる範囲でやれること・・・
一つ二つはできそうかな?と頭に浮かびました。



編みあがりの色合いや模様がどれも違うものになるんですね。
カラフルな色使いを見ているだけでも楽しめました。
「気仙沼カラー」とかシリーズでもリリース、「てんとうむし」とか名前がつけられてて(笑)

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年齢を気にしますか?「ネンレイズム・開かれた食器棚」

2018.02.26(06:55) 587

少しずつ少しずつ、仲良くなりたい。


『ネンレイズム・開かれた食器棚(山崎ナオコーラ:著)』です。



「ネンレイズム」と「開かれた食器棚」の2編が収録されています。
今回は、「ネンレイズム」の紹介。


3人の高校3年生が自分らしい生きかたを探す物語。

おばあさんになりたい、年齢愛好家の村崎さん。
未来ではなく、今を生きたい、紫さん。
徐々に年をとりたいスカート男子、加藤くん。


紫さんと村崎さん(どちらも「むらさき」さん)が、
年齢は重要か?という感じで意見を飛ばします。


紫さんの考え

「ひとりひとりの違いよりも、男と女の違いや、世代の違いの方が大きいのだろうか。
いや、そんなことはないだろう。
個人の違いの方がはるかに大きいはずだ。
属するカテゴリーの違いより、個人の差の方が格段に大きいのだから、
カテゴライズで仲良くなれそうかなれなさそうか判断するのはやめようかな、と。
だから、区分けはしません」



村崎さんの考え

「年齢を気にせずに人を見る、というのは難しいです。
『年齢を見て、ある程度相手を理解してから、近づいていきたい』と、ワシは思っています。
だから、まず初めに相手の年齢を尋ねます」




面白いところを小説にしてるな~と感じたんですけど。
いきなり知らない人に年齢は聞かないというか、聞けないですねえ。

紫さんの言いたいこともすごくわかる。
ひとりひとり違うんだってこと、当たり前のことを忘れて、
例えば、同じ日本人だから分かるはずと、
それは大まかすぎる。

同じ部活の部員だからと、その全員と仲良しかと言われたら、
すごく仲良しとそうでもない子と別れますしね。


私は「いつ、どこで生まれたか?」を知りたいタイプです。


いつ、どこで生まれたか?

これを知っておくのと知らないのとではずいぶん違うだろうと思っています。
中島みゆきさんの「時代」という歌に、

♪そんな時代も あったねと

こう唄うところがありますが、
これって同じ時代をすごしてきたもの同士が言える言葉ですよね。
違う世代の人とこうは共感できない。


どこで生まれたか?も、
東日本大震災の日、宮城にいたのか、沖縄にいたのか、海外にいたのかで、
あの地震の捉え方なんてまったく違います。

私はあの日北海道にいて、そこそこの地震の大きさは感じましたが、被害が出るほどのこともなかったので、
被災されたかたたちの連帯感には加われないと思っています。

それは分からない、とかあの人たちは違うよね~じゃなく、
そのときに生まれる結束感というものを実感はできないなということで。


ずっと前に、ベルリンの壁が壊されたニュースがあって。
それもぼんやりと「そうなんだ~」くらいでした。
あのときのドイツ国民の喜びを本当に知るってことは難しい。


何年生まれ、というところまで知らなくても、
いつごろの生まれなのか、どこで生まれて育ったのか。

それを知ることはその人の背景を知る一番の情報だと思います。

全然自分とは違うところ・ときを生きてきた人のことを理解しようがない。
それでも、理解したい。
そこから人間関係をつくるもんかなァと。

それと、一人一人違うんだという意識。
むらさきさんたちの意見、両方が大切だよな~と改めて思ったところです。

年齢を気にするというのは、若く見られることに価値がおかれすぎてるとこもありますよね?
まったく。
「え~!そんな歳に見えないですねー!」って・・・。

「今が一番魅力的なときですね」くらい言ってもよかろう?


意見の違う2人の「むらさき」さんですが、想いの先は同じです。

誰に対しても、一気にではなく、
少しずつ少しずつ、仲良くなりたい。


そう!
一気に「仲間だよね!」と来られると、逃げたくなります(笑)。



ちょっと不思議な感じのする小説なんですが、
高校生が真面目に自分らしく生きようとしている姿が微笑ましかったです。

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良きことはすぐに![男と女の理不尽な愉しみ」

2018.02.25(06:55) 586

その日の良きこと、その日のうちに


『男と女の理不尽な愉しみ』です。
作家の林真理子さんとタレントの壇蜜さんの対談。



結婚出来ない人が増えている、
専業主婦願望、
不倫騒動、
看取り・・・

さまざまな男女を巡る問題について語り合っておられます。
項目が多すぎて、一つ一つの話題に深く切り込んでいっているわけではないのですが、面白かったですね~。


名言っぽい発言も飛び出してきて、それが素敵なんですよ。



その日の良きこと、その日のうちに



ここで言われている内容は、

打ち上げでハッピーな気分、
それで夜中の1時2時まで飲んで、
電話番号なんか交換して、
帰り際に、「まだ一緒にいたい・・・」と言われたら、
そりゃあ行くよね!

って話なんですけど(笑)。


物事がとんとん拍子に進んでいくことってありますよね。
それでそんなときに
「あれ?こんな順調でいいの?なんか落とし穴ない?」って不安になるときもあるけど、
うまく流れている、その流れに乗っていくのがいいときもあります。

ちょこちょこ確認しながら、でもこの流れに乗っていこう!というときを逃さない。
そのために、
その日の良きこと、その日のうちに。


今も放映されているんでしょうか。
♪今年の汚れ 今年のう・ち・に♪ のコマーシャル。

ただのパロディですが(笑)。
「善は急げ」に似てるかな。

でも表現としては、
♪その日の良きこと、その日のう・ち・に♪が頭に残りやすいし、口ずさみやすい!

足取りが軽くなるフレーズ、ということで紹介しました☆




好色な男は大酒を飲まない。
男という「鉢植え」が枯れないように水をやる。
女は心のどこかに「夜叉」を飼っている。



こんなことをお二人が楽しくおしゃべりしている本。
これを読んだ翌日、髪をカットしに美容室に行きました。

いつも担当してくださる美容師さんの娘さん(高3)のお話。

娘さんの友達は、年上にしか興味がないと言い切っているそう。
「35歳以上じゃないと付き合わないよ。
若い子なんか、つまんない」と。

美容師さんの娘さんはというと、
「年上なんかめんどくさ~い。年下もめんどくさ~い。
ぎり、同い年しか付き合えない~」

だけどこの娘さん、今もお父さんとお風呂に入っている。
高校3年生です・・・。

恋愛などほとんど興味ないという・・・。


このお話を聞いて、そりゃ晩婚・少子化も進むわな・・・としみじみ。
「若い男の子、がんばれ。健闘しておくれ」と願いました。


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マンガリッツァ豚のご縁、「ブタが好きすぎてハンガリーの国賓になりました」

2018.02.24(06:55) 585

食べることこそ、最大の愛です!!


『ブタが好きすぎてハンガリーの国賓になりました(松本救助:著)』



ごくごくフツーの漫画家・松本さんが、ブタのマスターを主人公にしたマンガを描いたことがきっかけで、ハンガリーの国賓として招待された、そのドタバタ旅行マンガです。

ブタといっても、そこらのブタではありません。
「マンガリッツァ豚」という王子様です。

私は全然縁がなくてこの本を読んで初めて知ったのですが。



わかりにくいですが、全身をくるくる巻き毛で覆われているのが特徴です。
松本さん、そんなにブタが好きなの?


「ブタさんはね、
いるだけで人の心をその顔でほっこりさせてくれるの・・・
それに、ブタさんは裏切らないからだよ。
男は裏切るけど、ブタさんはずっとそばにいてくれる・・・」



あ、ここ深く詮索しないでスルーしましょう。


しかしなぜ、ブタのマンガを描いたからってハンガリーの国賓ということになるの?ですが。


食べられる国宝

マンガリッツァ豚は、品種改良により1833年に生み出されたハンガリー国有の希少種です。
「イベリコ豚」は有名ですね?その親戚にあたる豚なのです。

20世紀初めには約1万4千頭が飼われていましたが、
1991年には191頭にまで激減。

「このままではマンガリッツァは絶滅してしまう!」と、
国をあげて保護策をとり、
2004年には、ハンガリーの「国宝」に指定。

現在、5万頭程度に回復した、とされています。

ハンガリーでは、王子様的存在のマンガリッツァ豚なのでした。


すごい感覚なんですよね。
「国宝を食べる」

日本でいうと、「トキを食べる」ようなもの。


なぜ食べるの?


「国宝」として保護・管理し、食べることによりブランド豚として飼育を盛んにし、数を増やそうとしている。

食用として出荷し、それが売れることにより、
飼育する資金作りに成功しているというわけです。


かしこい!!
思い切った方法に感じるんですが、アイディアですよね、これは。

誰も困らないんですよ。
ブタさんは絶滅の危機を逃れ、
人間はおいしくいただけて、
それによってブタさんはますます子孫繁栄していける。


人間の都合で作られた品種でありますから、
ブタさんにとってはいい迷惑だったでしょうけれども。

ほったらかしにしないハンガリー国民は素晴らしいと思います。



で、なぜ国賓なの?ですが、
マンガリッツァ豚の加工・輸出している会社が松本さんのマンガをネットで発見します。

自国の国宝をかわいらしく描いていることに好感をもち、
「日本の文化とハンガリーがつながったことに私たちは本当に喜んでいるのです」

その喜びを行動にあらわしたのが、おもてなしだったというわけ。




ただブタさんが好き!ということで描き始めたものが、
海を越えた向こう側の人たちを喜ばせ、縁ができた。

ドタバタでオタオタしっぱなしの松本さんですが、
この本には「ハンガリー行ってみたいなあ!」と思わせる楽しさが満載でした。



美味しいに決まってる・・・お正月用に・・・



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2018年02月
  1. キモカワ動物6年連続第1位、「ハダカデバネズミ」(02/28)
  2. すべてを失くした人を幸せにする毛糸(02/27)
  3. 年齢を気にしますか?「ネンレイズム・開かれた食器棚」(02/26)
  4. 良きことはすぐに![男と女の理不尽な愉しみ」(02/25)
  5. マンガリッツァ豚のご縁、「ブタが好きすぎてハンガリーの国賓になりました」(02/24)
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