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2017-06-03 (Sat) 06:45

流し台を水びたしにするひとって、、、幸田文『父、こんなこと』

水の掃除を稽古する。
「水は恐ろしいものだから、根性のぬるいやつには水は使えない」としょっぱなからおどかされる。
   (『父、こんなこと(幸田文:著)』




幸田文さんが、父・幸田露伴から「雑巾がけ」を教わるときに言われた言葉です。
おっかないですね・・・。

文さんは、どうしてバケツの水が恐ろしいものかと雑巾を絞ります。
途端に露伴の
「見えた!」と叫ぶ声が飛んできました。
露伴の指差すほうには、なぜあんな遠くに?と思うところに水滴が飛んでいっていたのです。


「だから水は恐ろしいとあんなに云ってやっているのに、おまえは恐れるということをしなかった。
恐れのないやつはひっぱたかれる。
おまえはわたしの云うことを軽々しく聴いた罰を水から知らされたわけだ。
ぼんやりしていないで、さっさと拭きなさい。あとが残るじゃないか」



稽古どころか、恐るべき修行です・・・。まだどこも拭いてないのにもう叱られてる・・・。


しかしです、「水滴が飛んでいく」ということでちょっと考えなければいけないと思いました。
遊びや食事に出かけたら、大体1回はトイレに行きませんか。
その際、手洗いで水道を使うとき、思い切り水しぶきを飛ばす人がいます。


水道の水の勢いは、場所によって全然違います。古い建物の上のほうの階は水圧が弱かったり。
各自の家で使っている水道のつもりで、水を出しています。
自動で水が出るところも増えましたが、そうではないところもまだまだあります。

トイレから帰ってきたとき、やけに袖や服がびしょびしょになっている人がいます。
水の勢いを調節するという、デリカシーが欠けていると言えませんか?

まわりに水しぶきをかけても気づかない人。

プールや海で自分たちはすごく楽しく遊んでいるけれど、その側で、水しぶきがかかってイヤな気持ちになっている人がいないか考えられない人も似てるかも。


「あの人は感じがいいね」
「なんか感じ悪い」
これらは、水しぶきを飛ばすか飛ばさないかの差。

感じがいい人は、最初はゆるく蛇口をひねって水量を調節できる人。
さらにいい人は、他の人が濡らしたままのシンクや鏡を拭く人。


発想が飛躍しすぎていますか?
でもあながち外れた考えでもないと私は思っていますが。


「水は恐ろしいものだから、根性のぬるいやつには水は使えない」

露伴は、「水を使うときには人間性が出るんだ」と言っているのかな・・・と思ったのです。
恐ろしいけれど、ちょっと調節する気遣いがあれば、感じのいい人になれるということかも。
露伴、ブラボー。


『幸田文 しつけ帖』
文さんは早くに母を亡くしたこともあり、家事全般を父の露伴から教わりました。
露伴の家事術は、全てに理屈と根拠があります。

最終更新日 : 2020-07-18

* by 節約ドットコム
私の水との壮絶な戦いは、雨の日や洗車のときです。週に一度の洗車時には半日以上かけて水垢が残っていないだろうかと格闘しておりますよ!

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Re: 節約ドットコム様へ * by 馬場亜紀
コメントありがとうございます。
半日以上かけての洗車!!半日以上!?
・・・昔、付き合っていた人も洗車を丁寧にする人でした。それこそ横から斜めから見て水垢が残っていないか、あればきれ~にふき取って。懐かしい洗車デートを思い出しました。あれは水の稽古だったんですね~。
これから雨が多くなる季節、稽古が増える節約ドットコム様ですね!(笑)

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