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2018. 04. 12  
今回は昔話でおなじみの「桃太郎」のアレンジバージョンを紹介したいと思います。

まずは最悪な桃太郎のお話。
芥川龍之介の「桃太郎」です。



黄泉の国に届くかのような大きな桃の木があった。
その桃の木はいっぱい実をつけていて、その実のひとつひとつには赤子が入っている。
あるとき八咫烏が飛んできて、桃の実のひとつを突っついた。
その実は枝から落ちて川へ流れていった・・・。

川で洗濯をしているお婆さんが桃を見つけ、
拾って家に持って帰り、食べようとしたら桃太郎が生まれてきました。

すくすくと育つ桃太郎なんですが・・・

この桃太郎、突然鬼を征伐しに行くと言い出します。
理由は、山や畑や川で働きたくないから。

桃太郎に愛想をつかせていたお爺さんとお婆さんは、
厄介払いができると言わんばかりに、言われるがまま黍団子や旗や刀を用意してやりました。

道中、犬や猿に出会いお供させますが、
なんと黍団子2分の1個しかやりません。

そして鬼が島は椰子の木が生えた極楽のようなところ。
鬼たちはなにも悪さをしていません。
しかし桃太郎は鬼たちの宝をぶん取るのでした。

さあ、次はどの実が落ちるのだろうか・・・。


恐ろしすぎるのです。
電子書籍(青空文庫)で読んだのですが、
もはや字が小さいことすら恐ろしかったです。



もうひとつは先日読んだばかりの、
『内田百閒集成14 ちくま文庫』の中に収録されている桃太郎

昔むかしあるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました・・・
お婆さんが川で大きな桃を拾って帰ってくるところまでは同じです。


桃がひとりでにわれて、中から桃太郎が生れました。
お爺さんとお婆さんは、びっくりしたはずみに、桃太郎が生れた後の
桃の実をたべる事など、すっかり忘れてしまいました。



赤ん坊の桃太郎をあやしてはしゃぐ2人の声に、
近くで昼寝していた猪が覗きに来ました。


お爺さんとお婆さんは2人で交りばんこに赤ん坊をだっこしては、
よろこんでばかりおります。
その傍らに、それはそれはおいしそうな桃の実が、真中から二つに割れたまま、ころがっているのを、
2人ともすっかり忘れている様子でありました。



猪はこっそり桃を半分食べて、残りは口にくわえて森に帰ります。
2人は赤ん坊に夢中で、桃が無くなったことなどわかりません。
森に帰った猪は桃を置いて、昼寝します。


暫くして、猪が目をさまして見ますと、さっき枕もとにおいて寝た桃の実に、
小さな蟻が一ぱいにたかっておりました。
猪は、その桃の実の残りを、蟻ごと食べてしまいました。
めでたし。めでたし。



誰も思いつかない「桃太郎」。
もはや桃太郎は出てこないのです(笑)。

私はこの桃太郎の話をいっぺんで好きになってしまいました。
赤ん坊をあやしてはしゃぐ2人。
笑顔が絶えなかったことでしょう。

甘そうな桃をお腹いっぱい食べる猪。
食べられる桃の幸せ。

果実は、食べられてこそ、子孫繁栄していけるもの。
ほったらかしにされるより、蟻や猪に食べられるほうが生存に適っています。


私は日ごろから絵本を読むことが多いのですが、
最近の昔話絵本が変わってきていることに疑問をもっています。

最近の昔話は、「残酷だ」という理由で、
本来は退治されたり殺されたりしているものを、
謝って許してもらえたり、ケガで済んだりしています。

お話の中の教訓が、上っ面だけの「きれいごと」みたいになっちゃったように感じています。
お話の中でこそ、悪いことをしたらひどい目に合うんだと知らなければ。
現実でやってしまってからでは手遅れになることだってあるのに。
そんなことを思ってしまいます。


しっかりとした教訓のある昔話を伝えていくこと。
その上で、パロディのお話が活かされると思うのです。


芥川龍之介の皮肉たっぷりの「桃太郎」からは、
鬼より人間のほうが残酷だという警告にもとれますし。

内田百閒の「桃太郎」は、視点を変えてみることの面白さや、
違う立場にたって物語りを見てみる練習にもなりそうです。

もっと昔話を大切にしていきたいなあとしみじみ思います。




内田百閒版桃太郎を読んだのは、この本がきっかけでした。
書評集です。どれもこれも読みたくなって困ります。



今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。
めでたし。めでたし。

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No title
芥川龍之介の桃太郎はディティールで鬼が近隣を荒らして宝を奪い取る描写がないまま侵略を行うのですね。
それはとんだ畜生ですねw
もう一方の桃太郎はすでに桃太郎ですらないので、
どう評価していいのか言葉にならないのですw
まんが日本昔話でシリアルキラーと言われるほどの
殺戮マシーンが最後に謝ったら許された、みたいな
オチがつくことがありましたがあれはダメですね。
絶対許されません。
昔は一族中滅されたレベルです。
日本の子供には悪事を働けば人気youtuberになる、みたいな
くだらない絵本は必要ないと思います。
世界の絵本なんてオチすらないので評価に値しないのですけど。
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さるかに合戦
芥川先生曰く、一番悪い奴は食べもしないのに桃をつつく八咫烏ってことですねw

さるかに合戦でも、私の記憶だと最後はウスがさるにボディプレスをかけて圧死させる結末だったかと思うのですが、最近ではみんなで仲良くカキを分け合って食べましたみたいなカキアイアイなようですね。

そういう教えだと、な~んだ意地悪してもそんなに罰も受けず恩恵もらえると思ってしまうかもですね^^;
No title
こんにちは
芥川版は面白いを超えて共感してしまいそうです。
いろんなことを教えてくれる気がします。
話自体はその後の人間社会を予言しているようだし
何よりどこにも嘘はないというか、何にもいじらなくても視点次第で事実は正反対に見えるんだということですよね。
信じられていた事実が実は全く間違った虚像なのかもしれない。
クラシック音楽も桃太郎みたいなところがあるんですよね。
この曲こういう曲ですという正しい解釈が教科書的に存在するんですが、そんなの全然違うだろ?と思うことが最近いくつかあるんですよね。
それでいいんだよ自分の視点で見なさいよということを教えてくれたような気がします。
字の小ささまで怖いというところはちょっと面白かったです。
No title
芥川の桃太郎ってとんでもない奴ですね。
鬼退治に行く理由が、山や畑や川で働きたくないからなんてのは今どきの若者を彷彿させます。
その後も自分勝手だし。芥川さんは何が言いたかったんだろうと思ってしまいました。
これって、後からあとから桃太郎みたいなのが生まれるんですか?
なんか、そっちの方が怖いような。
Re: てかとさまへ
コメントありがとうございます。
芥川桃太郎は、悪者は桃太郎ただ一人。ほかの桃の実から生まれた桃太郎なら・・・というオチもなにもかも恐ろしかったです。
鬼は「人間みたいになったら地獄に落とされるからね」と鬼ママが子鬼に教育していましたw
世界の昔話って、その国の時代背景とか文化を知らないと、日本人にはさっぱり分からないものが多いです。背景も聴けば、「おお、そんな意味深なことが~!」ってなるんですけど。
フランダースの犬も、日本のアニメが最後をちゃんと悲劇に描いたことが現地で高く評価されたとか。
その国それぞれの教訓があるんですね。
Re: カキアイアイ(笑)
aiupaさま、コメントありがとうございます。
> 芥川先生曰く、一番悪い奴は食べもしないのに桃をつつく八咫烏ってことですねw
そっか!一番のワルはカラスか!(笑)あいつがあの桃を選んでもてあそんだ結果が・・・。
さるかに合戦、出だしのかにのお母さんも最近は死なないんですよ。最期のサルも逃げたとか。
それでは子どもに「報復」「仕返し」を教えてるようなもんですしね。
意地悪してもお咎めなしか~ってなるんじゃないかと。余計な心配なんでしょうかねえ・・・。

Re: unagiさまへ
こんにちは、コメントありがとうございます。

> 信じられていた事実が実は全く間違った虚像なのかもしれない。
> クラシック音楽も桃太郎みたいなところがあるんですよね。
> この曲こういう曲ですという正しい解釈が教科書的に存在するんですが、そんなの全然違うだろ?と思うことが最近いくつかあるんですよね。
> それでいいんだよ自分の視点で見なさいよということを教えてくれたような気がします。
へええ~、教科書的な解釈を教わるのが、学校の音楽ですよね。シューベルトの「魔王」とか、物語を解説してそれを覚えて、テストに出たような・・・。魔王視点での解釈なんて教わらなかったような記憶がありますね。
嘘はない。人によって見え方が違うだけ、という言葉がいいなあと感じました。

> 字の小ささまで怖いというところはちょっと面白かったです。
なんとなくわかっていただけますか?(笑)じゃあ大きくすれば?ってわけにもいかないんですよ。それでは読みづらいのです。あの小ささでぶるぶる震えながら読むのがこれまた楽しかったのですw
Re: ミドリノマッキーさまへ
コメントありがとうございます。
書かれたのは大正かな・・・そのころ、大人から見た若者はこんなのもあちこちにいたのかもしれませんね。
あとからあとからこの鬼畜太郎のような桃太郎が生まれたら・・・そのほうが怖いです!!!
こんばんは♪
芥川龍之介の桃太郎があったなんて知りませんでした。
が、めっちゃ怖いし、そんな桃太郎嫌だな(笑)。

最近の絵本は最後ハッピーエンドなんですか?
悪いことをしたら罰が当たると教えないと
いじめもなくならないはずですよね。
これからの子供が逆にかわいそう(;^ω^)
Re: こんばんは♪
ふたごパンダさま、コメントありがとうございます。
芥川桃太郎、いやでしょ~、鬼畜太郎でしょ~(笑)

なんとなく仲直りして、それってどう現実に活かせばいいのか難しいのです。
されたほうは簡単に許せない気持ちをないがしろにされているので。
昔ながらの昔話をね、周りの子どもからちゃんと伝えていきたいなと思ってます!(がんばるぜ)
No title
私は、穂村弘さんに反応してしまいました。
息子が好きなんです。
穂村さんが選者になっている新聞の歌壇から、抜き出したものを自分でプリントして製本したりもしてました。
その穂村さんが桃太郎の話を紹介されてるんですか…。
タイトルもまた意味深な(笑)
ほんとに亜紀さんのポケットからはいろんなビックリネタがいっぱい出てきて驚かされます。
最近こちらでunagiさんのコメントを見ることが出来るようになったのも嬉しいなあ~~。
内容があんまり記事本文と関係なくってゴメンナサイ。
Re: ナカリママさまへ
コメントありがとうございます。
実は私も穂村弘さんのエッセイはけっこう読んでます!
紹介したいんですが、元が面白すぎて、紹介したらネタバレ、もしくは元を台無しにするようなつまらない紹介をしてしまいそうで躊躇しています(汗)。
ホントにおもしろいんですけどね。
この書評集はマンガまで紹介していたりしてますが、歌集も多いですね。全然しらない現代歌人の著書が出てくるので興味がつきません。
No title
浅学な私はどちらも知りませんでした・・・
読んでみたいですね~
最近は本自体が読めていないのです((+_+))
No title
子供たちに見せる絵本って難しいですよね。ありのままの現実を子供たちに提供しないと実はダメなんだと思います。その残酷な事実以上に、子供たちに考えさせることのできるものはないと思いますので。かといって、残酷な世界を描くと苦情がくる時代ですからね~。桃太郎をはじめとして昔話が、そんなにきれいなわけがなく、本当にもっと毒に満ちている。でも、そのほうが、実はおもしろかったりするんですけどね~^^
Re: 節約ドットコムさまへ
コメントありがとうございます。
私も最近読んだばかりなので浅学は人ごとではありません・・・。
映画評記事が最近はあったので、ゆとりがあるか、もしや眠れぬ夜をお過ごしか・・・と想像していました。
お元気ならば安心なのです☆
読む時間のないかたが本の良いところを知るきっかけになればと思って書いているブログですので、訪問していただけるだけで本当にありがたいです!
Re: 八咫烏(全力稼働中)さまへ
コメントありがとうございます。
「本当は怖いグリム童話」なども流行ったことがありましたね。
お話の中だからこそ、残酷なことを見れるんですが。
かちかち山の「婆汁」なんて、どんだけひどいことかww
でもそこまで描いても、昔話は血が出たりしないから現実と捉えず、教訓だけが残ってくれるんだと思います。
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プロフィール

馬場亜紀

Author:馬場亜紀
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本の中の心に刺さる一文をご紹介いたします。
看護師免許をもっていますが、今は保育の仕事をしています。自身の子育ても真っ最中。
くわしくは「自己紹介」をご覧いただければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします☆

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