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少しくらい汚れてもいい、『注文の多い料理店 序』

2019.01.20(08:00) 695

前回紹介した『銀河鉄道の父』で、
「賢治ってロクデナシ」
なんて書きましたww



私が想う文学史に残る「ロクデナシ」ナンバーワンは、石川啄木なんですが。
(気に入らなかったら母も嫁も蹴っ飛ばす。稼ぎはほぼゼロ。)
賢治はナンバーツーにランクインしますね。

どんなだったかは『銀河鉄道の父』で楽しんでいただければと想います。

ロクデナシと感じてしまうのは、賢治の童話の美しさとあまりにも大きなギャップがあったからです。
ですが物語りの後半(賢治の晩年)は、透き通った精神性が炸裂していきました。

その透き通ったものが作品に全て残っているんだなあ。

私は賢治の童話が好きです。
『グスコーブドリの伝記』は涙なくして読めません。


で、最近知ったんですが、
童話『注文の多い料理店』がありますよね。

腹ペコの猟師二人組みが見知らぬレストランに入り、あやうく自分たちが食べられそうになるお話。

あの童話に、「序文」というものがあったんです。
その序文が、もう、美しすぎて・・・。


わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、
きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。

(中略)

けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、
あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。



この序文だけでもひとつの作品となる美しさがあります。
そしてスーパー有名な詩、「雨ニモマケズ」にはこうあります。

雨ニモマケズ
風ニモマケズ

一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ



賢治は、体の栄養には玄米と味噌と野菜を。

心の栄養には風と日光を取り入れていた人だったと知りました。


以前、ブロ友さんから「水清ければ魚棲まず」という言葉を教えていただきました。

「水清ければ魚棲まず」という中国の言葉がありますが
あまりに水がきれいで澄んでいると、魚のえさになる虫も繁殖しないし、
水草も生えず隠れる場所もないので、魚がすみつかない。
人も同じで、あまりに正義感が強かったり、清廉潔白だったりすると、親しみがなく、まわりに人が寄りつかない。



賢治は清らか過ぎたんじゃないかと想いました。
あまりにも清らかで、この世で生きるには向かなくなった。
だから37歳の若さで逝ってしまったのでは、と・・・。

あまりにも清潔さばかりを求めると、
少しの汚れをも憎んでしまいそうです。

その憎む心こそ、自分を辛くさせそうだなって。

たまに食べ過ぎたりなんかしちゃっても、
「おいしく食べれたよ~」って想うこと。

「こんなものを食べてしまった!」とか、
「こんなに食べた自分がうらめしい」なんて思わず、
「ま、そんな日もあるわいな」とすること。

それぐらい、許せる心をもてたらいいのにと想ったりします。





銀河鉄道の父 [ 門井 慶喜 ]


賢治が願ったように、すきとおったほんとうのたべものを、
読み取れているだろうか・・・また一つ一つ読み直していきたいなと想います。


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読書日記 トラックバック(-) | コメント(6) | [EDIT]
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コメント
お父さまの命日だったのですね。
こちらでは、母の命日が近づいてきて、
帰省中、母の文字を見つけては胸いっぱいになっていました。
でも、夢に出てくるのは父ばかりなんですよ、
なんでかなあ、なんかまだ母との間には確執があるのかなぁ。
今回の、実家断捨離中には、
父がらみの懐かしい書類もいくつか出てきて、
私も、今になってですが、
生前に増して両親を身近に感じる気がするようになりました。

子を想う親の心に勝るものなし、と、
亡くなる前に、母が繰り返し言っていたのを思い出します。
当時は、認知症が進んでいたこともあって、
「あんたも私の年になって老人ホームに入れられないと気持ちは分からない」
という愚痴交じりの言葉とともにぶつけられると、
素直に受けとめることができなかったのですが、
親の側には、子が親を想う心を上回る、無言の愛や想いがあったんだなあと、
申し訳なさとともに、しみじみ感謝の気持ちが湧いているこの頃です。
なので、亜紀さんの紙の日記に毎日「感謝」の言葉が記されていると知って、
ちょっとウルウルしてしまいました。

コメントも含めて数日分、一気読みなので、記事そのものへの感想というより、
読んで感じた自分の気持ちばかり、勢いで書いてしまってすみません。

「注文の多い料理店」にこんな美しい「序文」があったということを初めて知って、
それにも心が震えました。
読めて良かった!ありがとうございました。
【2019/01/20 19:17】 | ナカリママ #- | [edit]
自分は作家の性格、生きざままで考えて読んだことはありません。
そのあたりまで知って読んだら広がりがまた違うかもしれませんが、読むのに精いっぱいでやっぱり無理かな(^^♪
亜紀さんのブログを読ませてもらったほうが勉強になるかも。その辺よろしく。
【2019/01/20 19:39】 | ミドリノマッキー #- | [edit]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2019/01/20 21:28】 | # | [edit]
宮沢賢治傑作選の10作品はkindleで読めますね。
青空文庫でも全部読めますのでいくつか読んでみましょう。
「そしてバトンは・・・」を昨日買ってきました。
石川啄木のロクデナシぶりは確か「君も雛罌粟われも雛罌粟」
で読んだような気がします。
私が読んだロクデナシナンバーワンは野口英世(「遠き落日」)です。(笑)
【2019/01/21 08:38】 | エリアンダー #- | [edit]
清廉なものは辱められる、という言葉もありますね。
兵法書孫子かなにかにあった。いましめたい。

飯を食う前に自分に塩コショウを振っている段階で、
「やばい」
と思わないと食い物にされますね。
現代人も相当頭のおかしいことをブラウン管、もとい液晶の向こうでさえずるやつがいます。
気を付けないといけませんなぁ。
まぁ、いまどきの若い人たちはテレビ見ないんで気を付けるもなにもないんで未来の世代は比較的安心ですけど。
【2019/01/21 08:54】 | てかと #- | [edit]
パリは本格的に寒くなって来ましたが、亜紀さんの方はもっと寒そうですね。
サボリ気味のブログに遊びに来てくださって、ちょっと元気になって来ました^^♪
年が明けてから8日間で太陽が出たのが、たった4分で、その頃から鬱々気分になり始めたのです;;
太陽って大事だなぁと改めて実感しています。
>>賢治は、体の栄養には玄米と味噌と野菜を。
心の栄養には風と日光を取り入れていた人だったと知りました。
共感する部分もありますが、食事に関しては肉も魚も食べ過ぎていますから(笑
>>すきとおったほんとうのたべものを
農薬汚染度は気になりますけどね。
無農薬の果物&野菜も、求めやすい価格になってきましたよね。
鬱々に効くお薬は、こうして日本語でお話できることかなぁと^^
またお話相手になってくださいねー。
【2019/01/21 16:45】 | なつみ #N3o4lIaI | [edit]
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