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天皇を守ったアメリカ人、「屋根をかける人」

2019.01.29(08:00) 710

私たちはいずれ、地球そのものを覆う広大な一枚の屋根をかける人になりましょう。きっとです。


『屋根をかける人(門井慶喜:著)』です。


屋根をかける人


実在した人物、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏を題材にした小説です。
私はメレル氏のことを知りませんでした。
この小説を手にした理由は、『銀河鉄道の父』の著者の作品だったからです。
重厚な歴史小説を好むかたには、おすすめしません。
歴史小説を読みなれていない私には軽快によめる文体で一気読みできました。

明治時代
キリスト教布教
建築家
日本に帰化
商売人
「天皇を守ったアメリカ人」と呼ばれている

本の帯にはこんなキーワードが並んでいました。

物語は、メリル氏が来日した明治38年(1905年)から、日露戦争・第一次世界大戦・関東大震災・太平洋戦争と時代を駆け抜け、昭和39年(1964年)に永眠するまでのメリル氏の人生が描かれています。




いろんな才覚をもっていたメリル氏。
建築家として会社を経営する手腕。
「メンソレ-タム」を日本で初めて販売し、現在の「近江兄弟社メンターム」の創始者でもあり。

デパートの「大丸心斎橋店」がメリル氏の設計だったと知って驚きました。

実在の人物を元にした「フィクション」となっています。
登場人物たちの会話などは著者の想像でしょう。
しかし、そのセリフたちがとてもいいのです。


「私たちは信仰のあるなしにかかわらず、
おたがいの魂をむかえ入れ、やすらかに生活の一部を共有しようという話です。
あたかも日本家屋のごとく、人数が少ないなら少ないなりに、多いなら多いなりに」

「むかえ入れたら、どうなります」
「世界に通じる人になれます。
家には屋根がある。屋根というのはアメリカ人でも日本人でも、ペルシア人でもアフリカ人でも、ひとしく風雨から守る。その下にあたたかい団欒の場をつくる。
私たちはいずれ、地球そのものを覆う広大な一枚の屋根をかける人になりましょう。きっとです」


建物をつくる理念は、

健康で、
過不足のない、
心やすらかな空間を。

でした。


「人は人を裏切りますが、利を裏切ることはしません」
「商売というのは汚くやれば汚くなる。正しくやれば正しくなる。
結局は、心のもちかたなのです」

メリル氏は、奉仕と、商売で利益を上げることをきっちり区別している人でした。


「非常時は、理由になりません。彼らは未来の日本なのです」
これはメリル氏の妻のセリフ。
疎開中の子供たちが教育を受ける機会をなくしてしまっていることに心を痛めて、尽力する人でした。



時代の流れを感じるために読むのもいい。
メリル氏の商売の真髄をとらえようと読むのもいい。


屋根をかける。

壮大なことはしようとも思わないんですけど。
自分自身が屋根の役割をするのはいいかなあと思えます。
小さな家(家族)を雨風から守る。
雨ざらしに、あえて、なる。
それならばやっていきたいですねえ。


屋根をかける人


114年前の今日(1/29)、メリル氏は日本の土を踏みました。



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コメント
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【2019/01/29 13:33】 | # | [edit]
毎日のように更新、ものすごい読書量ですね。
「対岸の家事」には笑ってしまいました、三日ほど。(笑)
マッカーサーは天皇を戦犯とみなし、いい感情を持って
いませんでしたが、対面後大きく態度を変えたと言われています。
その陰にメレル氏の功績があったのですね。知らなかった。
ググってみると、メレル氏は日本名として米来留と名乗っていました。
アメリカからきて日本に帰化したことをしゃれたのです。
【2019/01/29 21:28】 | エリアンダー #- | [edit]
誘惑に負けて見に来てしまいました(笑)
メレル氏、全く存じ上げない方でした。
こんな風に、自分が知らないところで、
知らない人が、いろんな形で日本の今を作るために力を尽くしてくれていたんですね。
日本名「米来留」もしゃれてます(エリアンダーさん、さすが!)。
亜紀さんのところに来たら、猛烈に本が読みたくなりますが、
自分が読んでない本でも、美味しい所どりできて読んだ気持ちになれる!
という魔法のようなブログに感謝です~

>「非常時は、理由になりません。彼らは未来の日本なのです」
この言葉、いいなあ、好きです。
「未来の日本」…どうなってるだろう。
114年後の今日は、どんなだろうなあ。

まずは、今日も、ありがとうございました!
【2019/01/29 22:57】 | ナカリママ #- | [edit]
良いお話ですね…やっぱりここには吉報が山ほどあるので気持ちが落ち着きますー。
自分がウインターブルーなんだと気付くまでは、やる気が起きないことに「何故?」と悩んでいましたが
原因がわかると「向き合うしかないな」と少し前向きになりました。

屋根も太陽も必要ですね~。
家族を守る屋根だけは壊さないようにしよう^^
歴史的建築にこだわって不便なままのパリですけどねw

ウインターブルーのような外からは分からない病気もそうですが
目には見えないが大切なものは、この世にはたくさんありますね。
気の持ちよう、心のありようで病気がよくなったり悪くなったりするのは動かしがたい「科学的事実」となっているように!

「深く掘った井戸の底からは昼でも星が見える」
《心で見なくっちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ》
(星の王子さま)より
目には見えないが、肝心なことを大切にする人でありたいです。

無理せずに更新して行きますねー。
まだ暫くは私も、お返事できる状態じゃないので
(通院が週に4日という生活でパソコンに向かう時間がなくて(汗))
訪問しての交流になりそうですが
またお相手してくださいね。
【2019/01/30 17:00】 | なつみ #N3o4lIaI | [edit]
自分もこの方は知りませんでした。
建築を通して社会に貢献したいという思いの強い方だったんでしょうが、なぜそれが日本だったのか。
興味あるところです。
でも自分が一番目を引いたのは「メンソレ-タム」を日本で初めて販売した人だったということ。
メンタムですよ。怪我をしたらこれ、火傷をしたらこれ、アカギレ霜焼けにこれ。
外用薬といったら赤チンとメンタム。双璧でした。
それが外国人の建築家さんだったとは。
雑学のネタがまた増えました。有難うございます(^^♪

【2019/01/30 23:07】 | ミドリノマッキー #- | [edit]
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