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しがない暮らしとは?「しにがみと木の実」*ネタバレしてます

2019.03.27(06:00) 725

「死がない」は「詩がない」に通じますね。
死と詩がない暮らしは「しがない」暮らしです。



冒頭の言葉は、以前紹介した書籍『死ぬのはこわい?詩と詩をむすぶもの』の中にある、
谷川俊太郎さんによるものです。

しがない暮らし。

とるに足らない、つまらない、貧しい、乏しい・・・暮らしということ。

「しがない暮らし」を描いた絵本を、今回は紹介します。
スコットランドの旅人による伝承を元にした、『しにがみと木の実』です。



その日暮らすのがやっとの母子・ジャックと母親がいた。
ある朝、母親の具合が悪くなった。

一人ぼっちになる不安を抱えて、
ジャックは海辺を歩いていた。

すると向こうから歩いてくる老人に気づいた。

ぼろぼろの黒いコート、落ちくぼんだ目、大きな鎌・・・

こいつは死神にちがいない!母さんをつれていかせるもんか!

そう思ったジャックは、死神の鎌を取り上げて岩に叩きつけ、
死神を殴る殴る・・・・

不思議なことに、死神は殴られるたびに小さくなっていった。
指の先ほどに小さくなった死神を、
ジャックは拾った木の実の穴に死神を押し込み、小枝で栓をした。

<死神の木の実>のできあがり。

ジャックはその実を海に向かって放り投げた。


「これで、かあさんはだいじょうぶ。それに、みんなもたすかるぞ」

家に帰ったジャックを待っていたのは、元気になった母親だった。
ああ良かった!さあ、朝ごはんにしよう!

ところがところが。

卵焼きを作りたくても、卵が割れない。
サラダを作ろうとしても、野菜が切れない。
チキンスープを作ろうとしても、どうしてもニワトリを絞めることができない。

仕方がないので、町の肉屋へ行った。
すると、今日は売る肉がないと店主が言う。

「どうしても、牛が生き返っちまうんだ」

ジャックは、自分のせいだと気がつき、母親に事の次第をはなした。
母親は言った。

「なんだって!それはだめだよ、ジャック。
いきていくには、しにがみがいないと、こまるんだ」



ジャックは急いで海辺に行き、木の実を探した。
やっと見つかった木の実の栓を抜いたら、
死神がぽわんと飛び出した。

「いやはや。
わしをけせば、よのなかのつらいことが、すっかりなくなるとおもったな!
だがな、わしがいないと、このよは、おわりなんじゃよ」


修理した鎌を死神に返すジャック。
死神は死の意味を理解したジャックを許し、
母親を連れていくのはもう少し後にするといって、消えた。

それから何十年も経ち。

そして、ついに、しにがみがむかえにきたとき、
ジャックが おもいなやむことはなかった。
なぜなら、おわりがあるからこそ、あたらしいいのちがつづくのだと、
もう、わかっていたから。




この絵本を子供たちによみきかせしたら、とてもウケました。
死神が弱すぎるって。

挿絵から推測して、ジャックは10歳くらい。
10歳の少年に折られる鎌。100均の商品でしょうか。
殴られまくる死神。そんなに弱いの?


子供にどれだけ命と死のことが理解できたかは、わかりません。
ですが、何度も「読んで」と言われたので、
なにかしら心に印象づけられるお話だったんだと思います。

大人の私にしたって、すごくいい話だなあと思いますものね。

「いただきます」が、
「あなたの命を、いただきます」ということだと、
こんなに分かりやすくしてくれてるってことがありがたいです。


世界には、呼吸だけで生きる「ブレサリアン」という人が、
10人いるとか、2万人いるとか。

ホントかどうかは分からないです。
ご本人が「食べてない」と自己申告してるその言葉を信じるかどうかですし。

本当に食べずに生きられるとしたら、すごいなあとしか・・・。

食べない理由が、他の命を奪わないため、というのであれば、
それはもう、尊い行動だと感心するしかありません。

私には、食べたいという欲望が毎日あります、困ったことに。
それを、恥ずかしいとも愚かしいとも思わずに。

ただ、他の命を大事にいただこうという想いはなくさずに、
「いただきます」と毎回言いたいですね。


このお話の素晴らしいところは、
命をいただいているということと、もう一点、

「死までの充実した生き方」ということも意識して暮らしていくんだよ、
こんなメッセージも受け取れるところです。


いつ死神が来ても、あわてず、怒らず。
だって死神って、最強・最凶・最狂ではないって、わかったから。




スコットランドに伝わる、日本にはない「死神」のお話、いかがでしたでしょうか。
しがない暮らし。

死は自然とやってくるもの。
こちらから、迎えにいくものじゃない。





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読書日記 トラックバック(-) | コメント(5) | [EDIT]
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コメント
死神弱い上に優しい(笑)。
めっちゃ好きになりました(´∀`*)ウフフ

ぶっちゃけ医学的に何も食べずに呼吸だけで
生きられるとは思わないけど
どんな食べ物にも感謝しないといけないって思いました(*^^)v
【2019/03/27 20:34】 | ふたごパンダ #- | [edit]
ふたごパンダさま、コメントありがとうございます。
弱いけど慈悲深い死神、いいですよねえ♪

私も、「呼吸だけ?」とかーなーり疑心暗鬼ですが(笑)
食べるからにはイヤイヤとか、仕方なくとか、そういう感情じゃなく、嬉しくありがたくいただきたいと想いますね。
【2019/03/27 20:53】 | 馬場亜紀 #- | [edit]
何故だか分からないですが(汗)アメリカのジャーナリストのミッチ・アルボムが書いた、
「モリー先生との火曜日」という小説を思い出しました。
そして、絵本をいつも探している自分の中で、久々の大ヒット作です!!
それもハロウィンの頃から探していた「死神」ですからねー。
絵本は読むという耳からだけでない、目からも分かるので早速、探して来ます^^
輪廻という生まれ変わりがあるのだろうかとか、死神の存在とか「死」を意識すると
「生きる」が浮き彫りに…
生物としてこの世に生まれたからには致死率は100%ですものね。
命をいただく、フランスに来てから、毛もそのままの姿のウサギが
お店にたくさーーん売られているので、家には家族としてのウサギがいるし
まだその辺の理解は難しい幼稚園児です;;
【2019/03/28 16:15】 | なつみ #N3o4lIaI | [edit]
これからは「いただきます」には「あなたの命を、いただきます」と
いう気持ちも込めなくてはね。
種を進化発展させるためには生(新しい遺伝子の獲得)と同時に死
(古い遺伝子の廃棄)も不可欠なんでしょうね。全生物に死の遺伝子が
組み込まれていますし。
インドのプララド・ジャニ氏(87歳)は70年間、飲食せずに生きていると
いわれ、医学陣による2度の検証もパスしているとか。
私、病気末期には飲食を絶って死のうと思っているのに死ねないじゃん。(笑)
最近amazonから「さざなみのよる」という本の紹介が届きました。
ある女性の死によって周囲へさざ波のように広がっていく奇跡のような出来事・・・。
https://booklive.jp/review/list/title_id/511706/vol_no/001
【2019/03/28 17:53】 | エリアンダー #- | [edit]
いただきます。いいことばですね。
自分が小さいときは食前に「いただきます」と声を掛けていたものでした。それも、手を合わせて。
高校生ぐらいまではやっていたような。あの時の心、どこに行ったのかな。
今回のブログを拝見して、有難うの気持ちを忘れずにいただこうと思いました。
それと最後にある「いつ死神が来ても、あわてず、怒らず。・・・」の2行は身につまされました。
心にとどめておきたい言葉です。
【2019/03/28 19:11】 | ミドリノマッキー #- | [edit]
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