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2020-05-05 (Tue) 11:11

名作を速読で味わってみる。宮沢賢治の巻

文庫本は何冊積んだら倒れるか(堀井憲一郎:著)』に触発されて、
名作を速読してみる企画です。


文庫本は何冊積んだら倒れるか


速読、といっても、どれだけ速く読めるか、どうやったら速読できるか、
というものではありません。
小説の、最初と最後だけを読んで、5秒で新たな味わいを見つけてみる。
こういったものです。

今回は、童話の名作を生み出した宮沢賢治です。
もともとが短いから、速読せんでもええやん、という指摘もあろうかと存じますが、
まあ企画しましたんで、まいります!


『或る農学生の日誌』
ぼくは農学校の三年生になったときから今日まで三年の間のぼくの日誌を公開する。
どうせぼくは字も文章も下手だ。
ああどうでもいい、なるようになるんだ。あした雨が晴れるか晴れないかよりも、
今夜ぼくが、、、、、を一足つくれることのほうがよっぽどたしかなんだから。


宮沢賢治が文章ヘタならば、ブログは・・・。

『いちょうの実』
そらのてっぺんなんかつめたくてつめたくてまるでカチカチのやきをかけた鋼です。
お日様はもえる宝石のように東の空にかかり、あらんかぎりのかがやきを悲しむ
母親の木と旅にでた子どもらとに投げておやりなさいました。





『イーハトーボ農学校の春』
太陽マジックのうたはもう青ぞらいっぱい、ひっきりなしにごうごうごうごう鳴っています。
楊の木でも樺の木でも、燐光の樹液がいっぱい脈うっています。


この作品を読み返していたら、「コロナ」「コロナ」と出てくる!?

コロナは三十七万十九
コロナは六十七万四千
コロナは八十三万五百


感染者数か!?とおののいていたら、違いました。
太陽コロナのことだそうで。ああビックリした。
読む時と環境によってずいぶん読み方が変わってくる例。

『カイロ団長』
あるとき、三十疋のあまがえるが、一緒に面白く仕事をやって居りました。
よいしょ。


子どもたちが綱引きしてる光景が浮かんでしまった。

『風の又三郎』
どっどど どどうど どどうど どどう
風はまだやまず、窓ガラスは雨つぶのために曇りながら、またがたがた鳴りました。



『蜘蛛となめくじと狸』
蜘蛛と、銀色のなめくじとそれから顔を洗ったことのない狸とは
三人とも地獄行きのマラソン競争をしていたのです。


なに悪さしたんやろ。

『洞熊学校を卒業した三人』
赤い手の長い蜘蛛と、銀色のなめくじと、顔を洗ったことのない狸が、
次の春の夢を見ながらしづかに睡って居りました。


さきほどの三人組、グレずに卒業できました。


『まなづるとダアリヤ』
くだものの畑の丘のいただきに、ひまわりぐらいせいの高い、
黄色なダアリヤの涙の中でギラギラの太陽はのぼりました。



『ひのきとひなげし』
ひなげしはみんなまっ赤に燃えあがり、めいめい風にぐらぐらゆれて、
息もつけないようでした。
西の空は今はかがやきを納め、東の雲の峯はだんだん崩れて、そこからもう
銀いろの一つ星もまたたき出しました。



『ふたごの星』
天の川の西のきしにすぎなのほうしほどの小さな二つの星が見えます。
東の空が黄金色になり、もう夜明けに間もありません。



いつも読みたい!というのではないんですよ、宮沢賢治。
童話って単調なところがあって、眠くなりやすいし。
でも、たまに読みたくなるのは、ビタミン摂取と同じだから。

『注文の多い料理店 序』が大好きです。

わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、
きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
(中略)
わたくしは、これらのちいさなものがたりの紙きれかが、おしまい、
あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、
どんなにねがうかわかりません。



必要なのに自分で作ることができず、足りなくなったことに気づきにくい。
そんなビタミンのような存在が、宮沢賢治の作品です。

心、というあやふやなものじゃなく、
神経に届いて、自分の心身を整えてくれる。
そんなふうに思います。


ザ・賢治大活字版 全小説全一冊 [ 宮沢賢治 ]


宮沢賢治の作品は、内容はなんだっていいです。
話がめちゃくちゃでも、難解でも。
とにかく描写に酔いしれたいのです。

最終更新日 : 2020-05-05