吉報配達ブログ

ひっそり咲いている名言に、光を当てる

Top Page › 励ます言葉 › 一生かけて守り続ける「つらぬき」
2020-05-15 (Fri) 05:11

一生かけて守り続ける「つらぬき」

信念とか、これだけは!というようなものが、
自分にはないように思います。
なにか一本、背筋がしゃんとするようなものがあればなあと、
想像しつつ、憧れておわってるような。

『台所のおと みそっかす(幸田文:著 青木奈緒:編)』です。


台所のおと みそっかす (岩波少年文庫)


文豪・幸田露伴の娘であり、名文を遺している文さんの、
エッセイや短編小説をまとめたものです。

本書最後に掲載されていた短いエッセイが心に刺さりました。

『些細なつらぬき』

身辺の、ほんのちょっとしたことでいいんです。
例えば鏡台前を散らかしておくことがないとか、
バカねという言葉は決していわないとか、そんな些細なことでいいのです。
それを一生かけて守り続ける気になっていただきたいんです。
一つのことを、生涯を通じてつらぬくんです。

(中略)

目まぐるしく進む世の中です。
目を、心を奪われることばかりです。
白いふきんなどはあまりに些細ですが、目をまわした時には、
ふっとこの白をたよりに、方向をとりもどします。



文さんのつらぬきは、
「ふきんを汚なくしておかないこと」でした。
ふきんはいつも白さを保っておくこと。
これが、心の方向を取り戻してくれたと、書かれています。

幸田文さんは、1904年の明治生まれ。
「ふきんを汚なくしておかない」と決めたのは14、5才と書いてあるので、大正時代。
文さんは1990年に亡くなっておられるので、
明治のころの教えを芯にして、昭和・平成を生き続けた人です。

かっこいいなあ(こんな感想しか出ない自分が恥ずかしい)。
凛としたものが感じられますよね。

「つらぬけるもの」って、なにがあるだろう。
なにか、つらぬいているものって、あるかな?
「こだわり」とは違うんでしょうね。
なんか、こだわりって、頑固というか、視野の狭い感じがして、
「つらぬき」に感じる、どこまでもまっすぐ伸びていくものが見えないです。

つらぬくものは、他人を巻き込まない、
完全に個人的なことに終始できることがいいです。

文さんに問われたように感じながら、
なにか「つらぬき」を見つけたい、今日この頃です。


台所のおと みそっかす (岩波少年文庫)


幸田露伴(作家)
娘・幸田文(作家)
孫・青木玉(作家)
ひ孫・青木奈緒(作家・本書の選書、編集)

作家一族の心動かされるもの、大切にしている信念のようなもの、
それらを知ることができる『台所のおと みそっかす (岩波少年文庫)』です。

最終更新日 : 2020-05-15