吉報配達ブログ

ひっそり咲いている名言に、光を当てる

Top Page › 読書日記 › 死んだかれらの残したものは
2020-05-21 (Thu) 05:11

死んだかれらの残したものは

死んだかれらの残したものは
生きてるわたし生きてるあなた



詩人・谷川俊太郎さんの「死んだ男の残したものは」の一節です。
2020年は新型コロナウイルスという歴史的な出来事がありました。
まだ終息はしていないけれど、混乱は落ち着いてきましたね。

この出来事は忘れちゃいけないもののはずだけど、
痛みやらなんやらが薄れてきそうで怖いです・・・。

『最後の医者は桜を見上げて君を想う(二宮敦人:著)』です。


最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)



誰でもいつかは死ぬんだけど、明日だとは思っていません。
そのうちそのうちって・・・本気で死ぬと思わずに生きていく。
死ぬと思ったら、なにやっても意味などなくなってしまうから。
だけど、余命を宣告されたら?

治療をしなければ余命は○年でしょう。
この治療を受ければ5年生存率は何%。
うまくいかない確率は何%。

余命宣告と同時に、確率に追いたてられます。

この病気にかかる人は何%。
発症率は何%。
致死率は何%。
確率確率確率。人の命が数字に置き換えられていきます。

エンタメ小説に分類されるんでしょうけど、
楽しさはなく、患者の痛みが突き刺さってきます。
でも読むのをやめられないのでした。

「どこまで受け入れられます。
具体的にどこまでだったら、自分の命の対価に差し出せますか」


「命について真剣に考えたこともないのに、
死にたくないと病院に来て、医者にその命を委ねるのですか」



「不健康なことは・・・本当に不健康になったら、もうできないな」



命の価値はその『長さ』ではなく『使い方』にあるわけだろう?



これらの問いに、即答はできません。
読んでる間ずっと、父の死前後のことを思い出していたり、
今の世の中のことを考えてみたりして、疲れました。

とりわけ心に刺さるのが、医学部に入学したばかりの女性が残した言葉。

後で死ぬ人は、みんなの死を見届けるのが仕事。
先に死ぬ人は、みんなに死を見せつけるのが仕事。



それを見て・・・嫌な言い方ですけど・・・
みんなに辛い思い、して欲しいんです。
この世にはやり切れないことがあって、
逃れられない苦しみがあるんだと知って欲しい。



ただ苦しんでほしいと思っているわけじゃないです。
苦しみから、「じゃあこの苦しみを取り除くには?」
を考えるきっかけにしてほしいと願っています。
苦しみを知るから、新薬が開発されるんですよね。


読み終わったら日常に戻り、死から解放されました。
いつもいつも考えるのはムリ。
けれど、コロナ後をどういう態度で生きていくのか、
死んだかれらのことを忘れてはいけないんですよね。

感染で亡くなった人のこともだけど、
関連して変な事件が増えたじゃないですか。
「自粛警察(有罪ありきの態度は検察でしょ)」の恐ろしさも知りました。
経済がストップすることによる「死」も考えさせられました。

未来の世界が、今よりよくなってることを目指して。


最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)

Amazonアンリミテッド読み放題対象本です。

この本のタイトルにピッタリの動画を見つけました。
辻井伸行演奏「春よ、来い」←クリックすると動画に移動します。
あらためて2020年の春を迎えたい気分です。
それにしても辻井さん、いつまでも少年のよう!
まさか、不老薬でも飲んでるのでは。売ってください。


最終更新日 : 2020-05-21