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2020-08-01 (Sat) 05:11

三島由紀夫がおやつ食べてたって!?『作家のおやつ』

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三島由紀夫がおやつを食べてたって想像がしづらい。
お酒やタバコのセットなら想像しやすいんですが、
『作家のおやつ(コロナ・ブックス)』とは?



大正から昭和に活躍した作家を中心に構成されています。
タイトル通り、その作家の好きだったおやつについて、
エピソードと、豊富な写真で楽しめます。

登場する作家は、

三島由紀夫
手塚治虫
開高健
坂口安吾
川端康成
森茉莉などなど。

作家じゃなくても、
市川崑
久世光彦
小津安二郎
荻昌弘といった方たちも登場しております。

三島由紀夫は執筆中に、ウイスキーボンボンやカボチャの種を食べ、
手塚治虫は明治ミルクチョコレート(板チョコ)がなければ描けなくて、
坂口安吾は、ヒロポン&あんこ。クレイジーな食べ合わせ。

豪華な、老舗の和菓子屋ばかりじゃなく、
果物や洋菓子など様々。
写真を見てるだけでも美味しそうです。
今も営業中のお店や商品は、住所が記載されているため、
「スイーツ・ガイド」としても読むことができます。


向田邦子さんの妹・和子さんの短いエッセイが載っていました。

”砂糖壺にいっぱいの砂糖があったらなあ、いつその日が来るんだろう”と
ポロっといったことが耳にこびりついてはなれない私。姉十五歳の頃。


向田邦子さんが15歳のときって、昭和19年です。
この本に登場している作家たちは、
全員、砂糖が貴重で高級で手に入らない時代を経てきてる人たち。

三島由紀夫がおやつを食べてるなんて、想像もできなかったけど。
ストイックに卵白飲んでると思ってました。
おやつ、どれほど美味しく感じていたことだろう。

おやつを手軽に食べられるようになって、
しみじみと味わっていたんだろうと思うと、
さらに本書の魅力が増してきました。

関係者の文章だけじゃなく、作家が書いた食べ物の描写も掲載されていたりして、
読み応えがあります(巻末には出典一覧もあるので文学ガイドにもなります)が、
写真がいいんです。

スイカを前にして優しい笑顔の色川武大。
ケーキを食べ終わり、抱いた猫に「美味しかったね」と
話しかけているような谷崎潤一郎。

入浴中の柴田錬三郎。
なんでやの?この写真しかなかったん?

ストリップ劇場の踊り子さん2人とスリーショットの永井荷風。
踊り子さんたちはトップレス。
だからなんでやの?この写真しかなかったん?

甘いものは大嫌いの仏頂面・井伏鱒二。
だからなんでやのん。ここに載ってること自体おかしいやん。

とまあ、コロナ・ブックス編集者さんのセンスが抜群です。


作家のおやつ (コロナ・ブックス)


いい顔で写っている作家たちと対照的に、
いなくなった作家たちの使っていた机に置かれた
おやつや原稿、本棚の寂しさといったら。
作家がいてこその机であり、部屋なんだなあ。

最終更新日 : 2020-08-01