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2020-11-01 (Sun) 05:11

11月1日は本の日。『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』

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11月1日は「本の日」なんですね。
紙の本の「紙」はどこでどうやって造られているのか?
ふだん想像もしたこともなかったんですが、
この本を読んで、これからも紙の本を大切にしたくなりました。

『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている(佐々涼子:著)』です。



2011年3月11日。
東日本大震災により、日本の出版物の半数近くの「紙」を製造している
日本製紙石巻工場は壊滅的状況になりました。

この本は石巻工場の、
被災直後から復興までのノンフィクションです。

とにかく1章・2章は被災状況がもう……
今読んでも、心臓を鷲掴みされる苦しさに襲われました。
巻末に被災当時の写真も掲載されていましたが、
その状況たるや……
「これ、どうやって再生させるの?」と呆然としてしまうものです。

ですが、やり遂げます。復興します。わずか1年足らずで。
なぜそんな奇跡のようなことをやり遂げてしまえたのか。


「希望の星に会いにいこうか」




日本中の出版社から、紙を求められたのです。
多くの読者が、待っている。
こんな事態で、こんな事態だからこそ、本を求めている。

全国からの励ましが大きな力になったこと。
そして、工場の人たちの誇り。

人々の家の本棚に、何年も何十年も所蔵される紙を作っているという誇り



読者への優しさ。
工場長が言います。

「いつも部下たちにはこう言って聞かせるんですよ。
『お前ら、書店さんにワンコインを握りしめて
コロコロコミックを買いにくるお子さんのことを思い浮かべて作れ』
と。

小さくて柔らかい手でページをめくっても、
手が切れたりしないでしょう?
あれはすごい技術なんですよ。

一枚の紙を厚くすると、こしが強くなって指を切っちゃう。
そこで、パルプの繊維結合を弱めながら、それでもふわっと
厚手の紙になるように開発してあるんです」


コミック雑誌の紙は、コストに見合わせてるだけだと思ってました。
というか、手にとったこちら側のことを
そこまで考えてくれてるなんて、思いもよらなかったのです。


紙の本は斜陽産業になり、これからは電子書籍が取って代わる。
それが本当になるかどうかよりも。

本当に、何十年も手元に置きたい本は、
必ず紙に印刷されて、保存されます。
それは、細々とでも、脈々と続いていくはずだと確信しています。

本物は、ちゃんと残る。
本はいつまでも、「希望の星」であり続けます。
この本は、そう思わせてくれました。


紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている: 再生・日本製紙石巻工場 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)


樹から未来までの流れが、短文で表されていました。

本が手元にあるということはオーストラリアや南米、
東北の森林から始まる長いリレーによって運ばれたからだ。
製紙会社の職人が丹精をこめて紙を抄き、編集者が磨いた作品は、
紙を知り尽くした印刷会社によって印刷される。
そして、装幀家が意匠をほどこし、書店に並ぶのだ。

手の中にある本は、顔も知らぬ誰かの意地の結晶である。

読者もまたそのたすきをつないで、
それぞれが手渡すべき何かを、次の誰かに手渡すことになるだろう。
こうやって目に見えない形で、
我々は世の中の事象とつながっていく。



この本の紙はどこから来たんだろう。
今後、何度も思い返そうと思います。
誇りをもって作っている人たちを忘れないために。

最終更新日 : 2020-11-01