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2020-08-02 (Sun) 05:11

動物たちの命がけ、『海(小川洋子)』

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動物から学ぶことは数え切れないほどあります。
たとえそれが死に至るようなことでも……。

『海(小川洋子:著)』という短編集から紹介します。



タイトルと同じ短編「海」に、オポッサムの記述がありました。
オポッサムとは、イタチとタヌキが混ざったような哺乳類で、
フクロネズミとも呼ばれます。

死に真似に入ったオポッサムの演技は見事だった。
四本の足は好き勝手な向きにだらんと投げ出され、
爪のある指は空しく宙をつかみ、
口からはみ出した舌と半開きになった目には、
なぜこんなことになったのか誰か教えてほしいと嘆くような、
切なさが漂っていた。


オポッサムは、コヨーテなどに狙われた時、
初めは威嚇したり攻撃的なんですが、
敵わないとなると、死んだフリをするそうです。
その様子を映した動画があります(1分58秒)。

死んだフリするオポッサム

お見事。
死んだフリをしてる時、なんと死臭に似た臭いまで発するそうです。
生きた獲物しか狙わない敵は、別の獲物を探しに行ってしまいます。

捨て身の作戦というかなんというか。
けっこう、危険な賭けだと思いますが、
オポッサムにとっては本能であり戦略であり。
これしか方法がないんですね。

他にも、命がけの戦略を行う動物がいます。
※ここから本の内容と離れます。




目から血を出すサバクツノトカゲ

サバクツノトカゲは全身をトゲで守っていても、
のべつまくなし、ヘビやコヨーテに狙われます。
敵から攻撃を受け、「もうダメだ」と悟った瞬間、
目からビームのように血液を飛ばします。
動画あります(1分51秒)

目から血を出すサバクツノトカゲ

うまくいけば、相手は驚いて逃げます。

しかし、トカゲが飛ばす血液の量は、体内の血液の4分の1。
体力を回復できず、出血多量でそのまま死ぬこともあります。



失明するカツオドリ

上空から海中へ、一直線にダイブして魚を捕るカツオドリ。
動画あります(5分22秒)

カツオドリの高速ダイブ

激しいダイブをくり返すことで、いずれ失明してしまいます。
カツオドリの死因は、ほとんどが「失明」。
エサを捕れなくなるからです。
生きるために死に急ぐようなダイブなのです。


命がけ、というか、人間に当てはめると自殺行為。
それでも、やらなければ即、死を意味します。
だけど、やっても死んでしまう可能性が高い。


人間からみると、壮絶で過酷な生き方です。
でも多分、動物たちはふつうにこなしてるんですよね。

動物からみたら、
人間の行動が、意味不明の命がけにみえてるかもしれません。


地球上のあちこちで、静かに生と死が行き交ってる。
粛々と生きる動物の姿に、なにを学べてるかなあ……。



7つの短編が収録されています。
「バタフライ和文タイプ事務所」と、「缶入りドロップ」が好きです。
活字が生きて寿命がくる。
幼稚園バスの運転手の静かで深い愛情。
まさに「海」のようでした。


最後にオポッサムほのぼのムービーを(53秒)。

オポッサムの親が子どもたちを運ぶ

オポッサムは多産なので、全員を運ぶとなると、こうなります笑

最終更新日 : 2020-08-02