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2020-07-31 (Fri) 05:11

心に澄んだ小川が流れるような、『テミスの休息』

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初めて読む作家さんの小説はちょっとドキドキします。
自分に合うだろうか、期待と不安。
今回、出会えてよかった!の体験ができました。

『テミスの休息(藤岡陽子:著)』です。



どんなに強い人でも、闘い続けることはできませんから。
うちのテミス像も時々は、剣や天秤を先生に預けてほっこりしてるんですよ


「テミス」とは、ギリシア神話に出てくる正義の女神。

片手に天秤、もう一方の手に剣を持ち、
法律が公正で厳格なものであることを示しています。
偏見を持たずに裁く、という意味で目隠しをされているそうな。


個人法律事務所を舞台にした小説です。
本格的な法律や、裁判などは出てきませんので、
重厚な社会派の内容を求めている人には向いていませんね。

法律事務所を舞台にした、澄んだ人間ドラマです。

いくつもいい言葉がある小説って大好きです。
特に気に入ったのがこちら。

「亮治、いいか、よく聞けよ。
おまえのサイコロは、六面とも1の目しかないんだ」


だから前に進むのは一歩ずつだ     


「横着するなよ、亮治。絶対にふりだしに戻るな」
「でもな、1の目は必ず出るんだぞ」


故意ではないが人を殺してしまった亮治。
苦すぎる過去もあります。
それでも、真面目に働き、そこの上司がこう言って信頼してくれてます。

悪人は出てこないけど、イヤな人間は出てきます。
それでも、善人は、絶対にいる。
横着せず、地道に歩んでいると、
味方が現れ、信頼が得られる。
そう信じさせてくれます。


なんとも気持ちの良い小説でした。
樹々豊かな森の中の、澄んだ小川のそばに座ってるような。




しばらく藤岡作品を読み耽ってしまいそうです。

最終更新日 : 2020-07-31