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2020-08-28 (Fri) 05:11

自由じゃなく嗜みを、『君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい』

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春からずっと違和感を感じていたことがスッキリしました。
『君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい(浅田次郎:著)』です。




いろんな雑誌に掲載されていたエッセイを集めたものです。
書かれた時期はバラバラですが、時代に左右されない本質が描かれています。

その中で「やっと見つけた!」と腑に落ちた文章があります。
「日本人の嗜み」より。

好きなものを良い心がけで味わうという「嗜み」。
日本語の傑作である。



「嗜み」!
こんな言葉があったことすら忘却の彼方……。
解説がすこぶる小気味いいのです。

おのおのが好きなことを好きなようにやっていたら、他人の迷惑になるのである。
だから個人の行為には必ず、「心得」が必要とされた。
その心得ある行動が「やる」でも「する」でも「食う」でも「飲む」のでもなく、
「嗜む」という成語として確立したと思われるのである。



好きなことを好きなようにやってはいけないのか。
なぜ嗜むという言葉ができたのかは、日本の地理や面積や環境から
生まれたのではないかとおっしゃっています。


春からの報道でいちばんムカムカしたのが、
「(私の、オレの)自由でしょ?」でした。

自由を出されると、反論しにくくなるんで、とても卑怯な使い方です。
本当は、「勝手」なだけなのに。


けれど、ムカムカと「自分勝手なだけやん」と言ってしまうと、
ケンカ腰になって、同レベルになるだけ。
何かうまい表現はないかなあと思ってたんです。

「嗜む」。これですよね。

自分の判断で、できるだけ他人の迷惑にならないように楽しむ。

これはたった4文字で言えるのです、「たしなむ」。


使わなくなりましたよねー。
言葉がなくなるということは、その行為・感情も消えてしまうんじゃ?

「自由」も「勝手」も声に出すつもりはなく。
心の中でそっと、「嗜んでいこう」と呟いていきたいです。


君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい (文春文庫)


最終更新日 : 2020-08-28