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2020-09-18 (Fri) 05:11

ひとりぼっちじゃないんだよ。『書店主フィクリーのものがたり』

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小さな本屋さんの看板にはこう書かれていました。

    アイランド・ブックス
      島の本屋
     創業1999年
 アリス島唯一の優れた文学書籍販売元
 人間は孤島にあらず。書物は各々一つの世界なり



小さな本屋の店主の人生を描いた小説、
『書店主フィクリーのものがたり(ガブリエル・ゼヴィン:著)』です。



自分が気に入った文学作品しか店に置かない、売らない。
本へのこだわりは強いフィクリーは、妻を事故で亡くしてから、
自暴自棄なまま店を続けていました。

酔いつぶれてしまった夜、
何者かに希少本を盗まれてしまいました。
そしてしばらくののち、
店に黒人の女の子が置き去りにされていたのです。

妻を亡くし、自分も大部分が死んでいたようなフィクリーが、
再び生きていくものがたりです。


本を愛する人のために書かれたような小説です。
どこもかしこも愛さずにはいられなかったです。

フィクリーは置き去りにされていた女の子を、
自分の娘として育てます。
後年、フィクリーは娘に、心のなかで必死に伝えます。

ぼくたちはひとりぼっちではないんだよ。


「大事なのはたったひとつの言葉だけだ」



小説ではちがう言葉でしたが、
私の考える「大事なたったひとつの言葉」は、

ありがとう

だと思います。

この言葉こそ、
自分がだれかに・なにかに助けられた証しであり、
ひとりぼっちではないことの証しです。

「ありがとう」がある人生は、
自分がだれかと・なにかとつながっている証しです。

世の中に「絶対」といえるものはほとんどないけれど、
「ありがとう」があるところに、
つながりは絶対にある、と言ってもいいと思うのです。



本の盗難がきっかけで、
フィクリーは警察署長と仲良くなります。

この署長がいい味だしてるし、けっこう重要人物です。
まったく本を読まなかった署長ですが、
フィクリーと関わることで、
「署長特選読書会」を開くほどの読書家になります。

「(前略)本屋はまっとうな人間を惹きつける。(中略)
おれは、本のことを話すのが好きな人間と本について話すのが好きだ」


「本屋のない町なんて、町にあらずだぜ」


こんなことを言うようになっているのです(笑)

ホント、本好きにはたまらないものがたりです。



書店主フィクリーのものがたり (早川書房)


数年前の「本屋大賞 翻訳部門」で賞をとっている作品でした。
さすが書店員さんは、良い本をご存じですね。
読んでよかった。出会えてよかったです。


最終更新日 : 2020-09-18