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2020-09-30 (Wed) 05:11

心を置き去りにしないように、『旅をする木』

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『図書室のキリギリス』に触発されて。
『旅をする木(星野道夫:著)』です。



ホームグラウンド・アラスカの自然描写や、
訪れた世界各地の自然や人々との交流。
それらを、手紙のように書いたエッセイ集です。

何度読んでも美しい。
どこから読んでも自然の営みを感じます。
隠さない生死のことも。

今回は、「ガラパゴスから」の一編を紹介します。

南米のエクアドルにて、一つのお話を語っています。

たしかアンデス山脈へ考古学の発掘調査に出かけた探検隊の話です。

大きなキャラバンを組んで南アメリカの山岳地帯を旅していると、
ある日、荷物を担いでいたシェルパの人びとがストライキを起こします。
どうしてもその場所から動こうとしないのです。

困り果てた調査隊は、給料を上げるから早く出発してくれと
シェルパに頼みました。日当を上げろという要求だと思ったのです。
が、それでも彼らは耳を貸さず、まったく動こうとしません。

現地の言葉を話せる隊員が、一体どうしたのかと
シェルパの代表にたずねると、彼はこう言ったというのです。

”私たちはここまで速く歩き過ぎてしまい、心を置き去りにして来てしまった。
心がこの場所に追いつくまで、私たちはしばらくここで待っているのです”



日本語で「心を亡くす」と書いて「忙しい」です。
同じ意味合いですが、シェルパの「速く歩き過ぎた」という
解釈にユーモアがありますね。

10月にもなると、
「うわっ、今年もあと3ヶ月で終わるの?」と、
せっつかれるような、焦るような気分になったり。
逆に、「もうええわ、来年があるし」と変な諦観を持ったり。
まだ90日もあるのにね。


心と体が同じ場所にいられるように、
まずは、
落ち着こう。

落ち着いて、まわりを見回してからでも遅くはない。

だんだん気忙しくなってくる季節だからこそ、
心がこの場所に追いつくまで、しばらくここで待つ。

あんがい、いい対策だと思うのです。


旅をする木 (文春文庫)


一晩で一気に秋が深まるアラスカを次のように書いています。

一夜のうちに、秋色がずっと進んでしまったのです。
北風が絵筆のように通り過ぎていったのです。


森の木々が一晩で赤や黄に染まっている様子が目に浮かびます。
雄大な自然の圧倒的な美しさに感動します。何度でも。

最終更新日 : 2020-09-30