吉報配達ブログ

ひっそり咲いている名言に、光を当てる

Top Page › 日本文学・エッセイ › 『リアルプリンセス』すべての人がハッピーになれますように
2020-11-20 (Fri) 05:11

『リアルプリンセス』すべての人がハッピーになれますように

ありがとうございます。吉報配達ブログへようこそ。
吉報を届けることができますように。


懸命に生きる人が幸せになる物語は、
こちらにも元気を分け与えてくれますね。
そんな小説を読みました。『リアルプリンセス』です。



6人の小説家による、昔話を現代にアレンジした短編集です。

ふたりのおばあさんが営む小さな本屋には、
ハッピーエンドの本しか置いてないらしい。
  (「夢のあと(大山淳子:著)」より)



知られるプリンセス物語は、紆余曲折がありながらも、
最後は「幸せに暮らしました。めでたしめでたし」です。

現代版プリンセスたちも、それはそれは頑張っているのです。

わたしの結婚観、ひいては人生観について、お話をさせていただきたいと思います。
かなりきびしい話もするがわたしの本音を聞いておけ。


「鉢かづき姫」ならぬ「鍋かぶり(寺地はるな:著)」です。
婚活セミナーの講師に呼ばれた初瀬が語る困難な人生。
その先にあったシンデレラストーリー、もとい、鍋かぶりストーリー。
さだまさしが入ってる口調にぷっと吹き出してしまいます。

母親の懇願から鍋をかぶることになり、
なぜかその鍋が外れなくなった初瀬の苦難の日々。
初瀬はセミナーの最後にこう語ります。

人生というのは、ほんとうになにが起こるかわからない。
(中略)
頼れるのは、自分の才覚とか機転とか、なんでもかまいませんが
とにかく「自分のなかにあるもの」、ただそれだけなんですよ。

だから皆さん、忘れてくれるな。どうか忘れてくれるな。

一切のトラブルを逃げて生きていくことなんて、できっこないのです。
鍋とは限らない。
生きていると、あらゆるへんてこなものが、頭に載っかってくるかもしれないってこと。
はねかえしたり、あるいは共存したり、逆にうまいこと利用したり、するしかない。


どうしてもさだまさしが入ってくるところがいいですね(笑)

初瀬は辛い思いをたくさんしてきたから、人の孤独や寂しさに気づけた。
それがシンデレラストーリーの礎になったのです。
どんなことも、使い方・利用の仕方次第なんですね

「あの人は海を捨てた(藤岡陽子:著)」もよかったです。

最初、人魚姫の話だと思ったんですけど、違いました。
浦島太郎でした。意外だと思いませんか?
乙姫様目線なんですよ。

主人公の透香(とうか)は小学生の頃、
浦島太郎をハッピーエンドの物語として描きなおしていました。
乙姫様は、浦島太郎を追って、陸に上がったと。

桜模様の小袖から海水を滴らせ、異世界に踏み出す両足は震えていただろう。
自分だけを陸に置き、海に戻っていく亀の後ろ姿を、何度も何度も振り返ったに違いない。
それでも、あの人は海を捨てた。


忠告を守らなかった太郎の愚かさを教訓とするような、
ちょっと辛気くささのある浦島太郎物語。
それが、一途な恋に勇気を出す乙姫様の純愛物語に変身です。

自分のなかにある、本当の自分の心を大切にした。
心に従って行動した。
そのための勇気なら、出せるはず。

そんな風に思わせてくれました。
世界中の人がハッピーエンドの物語を生きられますように。



リアルプリンセス


収録作品は、
「鍋かぶり」(寺地はるな:著)
「歩く12人の女」(飛鳥井千砂:著)
「ラプンツェルの思い出」(島本理生:著)
「正直な彼女」(加藤千恵:著)
「あの人は海を捨てた」(藤岡陽子:著)
「夢のあと」(大山淳子:著)

「歩く12人の女」もすごく好きです。
昔話のような文体で描いてても、心情がよく伝わってきました。
いいお話です。

最終更新日 : 2020-11-20