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2021-03-03 (Wed) 05:11

『思いはいのり、言葉はつばさ』辛い時は書きましょう

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女性が文字を覚えて書く。
これが普通になったのはいつだったんだろう。
これが実現してない国は、あといくつあるんだろう。

『思いはいのり、言葉はつばさ(まはら三桃:著)』です。



このお話は、中国の秘密文字「女書(ニュウシュ)」を題材に、
少女・チャオミンの成長を描いています。

どこの国でもそうなんでしょうか。
女に勉強などいらない、文字など覚えなくていい。
こんな考えがまかり通っていた時代がありました。

中国で、女性にだけ、秘密として受け継がれてきた「ニュウシュ」。
まるで刺繍の図柄のような形をしています。
もう絶滅寸前だそうです。
普通の文字を普通に学べる時代になったから、
必要なくなったと言えるんですけど。

お話は、まだニュウシュが必要とされている時代です。
チャオミンとそのお母さんの会話から……。

「あなたはてん足をしてしまったけれど、その代わりに
文字をしっかり学びなさい。文字があなたの足の代わりだよ」
「文字が足の代わり?」
「そう。思いをつづることで、心がきっと自由になる」



このお話、ニュウシュだけじゃなく、
昔の中国の風習や考え方なども描かれています。
とにかく、女は一に辛抱、二に辛抱、
三も四も辛抱辛抱!!
苦しい〜。


お母さんはチャオミンと親しくしていた少女にも手紙を書きます。

辛いときは、書きましょう
苦しいときは、歌いましょう


思いを言葉に置き換えることは、
解放される作用があることを、お母さんは知っていました。

思いで苦しい時、実はその思いを言葉にできない時が
いちばん苦しいんですよね。
言葉にすることで、しっくりときて、
「あ、このことで自分は苦しい思いをしてるのか」と理解できる。

言葉にできないうちは、ただただ不安に飲まれてる感覚です。

不自由もあるけど、楽しみもちゃんと見つけるチャオミンの日常。
途中、ピンチもあったけど、てん足が武器になったところなんて、
思わず笑ってしまいました。
いろいろあるけど、自分から楽しんでいかないとね!

ラスト   

   さあ今日も励みましょう
織りましょう、縫いましょう、刺繍をしましょう
そして、文字を書きましょう
せっせと手を動かしましょう
わたしたちのこの両手は
海を渡る鳥のつばさ   



文字を書けるって、当たり前じゃないんだなと痛感します。
文字を書けることのありがたさ、
学んでこれたことのラッキーさをしみじみ感じます。



思いはいのり、言葉はつばさ


苦手意識があって、中国の歴史や風習を描いた小説ってほとんど読んだことがありません。
本書は児童書ということもあり、
とても読みやすくて、私にはちょうど良かったです。

ニュウシュを詳しく知りたい方が読むと、期待外れになってしまいます。
あくまでもフィクションであり、物語、ですから。

参考文献として、以下の書籍が掲載されていました。
詳しく知りたい方にはこちらの方が良いと思います。
『中国女文字研究』
『中国の女文字−伝承する中国女性たち』
『中国「女書」探訪』


中国「女書」探訪


中国女文字研究


中国の女文字―伝承する中国女性たち


最終更新日 : 2021-03-03